三秋の季語と和菓子

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

コロナ禍になる前は、秋は市民茶会を楽しむ季節でした。覚束ないながらも着物を着てみたり、子連れで茶席に参加してみたり…。

家での和菓子タイムだと用意できない煙草盆や掛軸、香合などの設えが見られるのも、茶席の醍醐味といえるでしょう。日常生活と切り離された静寂な空間、また味わいたいものです。

金風吹玉管とは
玉管が金風(秋風)をうけておのずから鳴り出すその音色というものは、まさに妙たえなる天然の音楽というものであり、しかもその音色、今聞こえていたかと思えばすぐ空に消えて蹤跡をとどめない。(禅語)
※五行(火・水・木・金・土)での“金”の季節は秋を表す。

今回は【季語と和菓子】シリーズから「三秋」を取り上げたいと思います。

秋の季語の区分
◇初秋:立秋から白露の前日まで
◇仲秋:白露から寒露の前日まで
◇晩秋:寒露から立冬の前日まで
「初秋」~「晩秋」までの全ての期間に共通する季語を「三秋」といいます。

参考:初秋の季語と和菓子仲秋の季語と和菓子晩秋の季語と和菓子

『花芒(はなすすき)』羽二重餅製

『花芒(はなすすき)』《美濃忠》
▪︎販売価格:1個324円 
▪︎賞味期限:製造日より2日間

【中秋の名月】のころは、「すすき」をモチーフとした和菓子がそこここに並びます。意匠としてはシンプルに焼き印で「すすき」を表現したものが多い印象です。秋の澄んだ空気に佇む芒を眺めながら和菓子を堪能するのって、楽しいひとときですよね。

食べたひとくちメモは、中秋の名月と『薄(すすき)』モチーフの和菓子をご覧ください。ススキの別名についてもふれています。

『有りの実』ういろう製 梨コンポート入り白餡

『有りの実』《和の菓さんのう》
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎9月の上生菓子セットより

《和の菓さんのう》こと三納寛之さんが岐阜の工房から独立して、フリーランスになられてから初めて買った和菓子セットに入っていた『有りの実』。思い出深い一品です。三納さんの季節の和菓子の切り取り方が好きなんですよねー✨

今年はまだ梨を食べていないので、初がこちらの梨コンポートになります。

ちなみに下記の記事にも書いてますが、『有りの実』とは梨の異称のこと。なしが「無し」に通ずることに基づく忌み言葉の言い換えになります。

参考:秋の味覚を召し上がれ『栗雫』『有りの実』《和の菓さんのう》~来年もリピートしたい!

『水の秋』錦玉製

『水の秋』《両口屋是清》
※2020年購入品
▪︎賞味期限:製造日より2日間

夏を惜しむ青葉が、ひんやりとした水に秋の気配を感じとるさまを表した一品です。青々した山も秋の訪れとともに赤、黄、茶へと彩りを変えていきます。それを映す水の色さえも…

少し哀愁ただよう意匠ですね。

参考:和菓子の製法~『錦玉製』編

『鳴子』羽二重餅製

『鳴子(なるこ)』《川口屋》
▪︎販売価格:1個320円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より日間

鳥威しの一種で、実った穀物を守る仕掛けのことを『鳴子』といいます。田畑だけでなく「よさこい祭り」でも必需品。朱色のしゃもじ形の台に黒と黄色のバチで、涼やかな音を奏でる楽器としても知られています。

ふわふわの羽二重餅の上に「鳴子」の焼き印が捺された一品(運ぶときに落としてしまったので、ちょっとだけ型崩れしてしまいました)。黄金色に実った田んぼに、何処からともなく『鳴子』の音色が響きわたる、そんな情景が思い浮かぶ意匠ですね。

季語「月」にまつわる和菓子

◇左:『月うさぎ』薯蕷製 賞味期限2日《仙太郎》
◇右:『お月さま』黄身しぐれ製 賞味期限2日《鈴懸》

本体は形を変えることがないのに、見上げる私達の目には季節の移ろいとともに違う姿を見せる「月」。とりわけ明るく大きく照らす秋の月は、昔から人の心を捉えて離さない存在です。

「兎」だけだと冬の季語になるのですが、月に合わさると【三秋】を表す季語となります。

「月の兎」以外にも「月」の子季語は数多くあって、その中でも気になるものを抜粋しました。

●「月」の子季語
◇「袖の月」…涙にぬれた袖に映った月。悲しさのあまりに流した涙は袖に月が映るほどであるの意。
◇「心の月」…悟りを開いた境地を、明月の清く澄むさまにたとえた言葉。

「袖の月」や「心の月」などは趣深く、この境地にはまだ至ったことはないなぁと、美味しい和菓子を食べながら思ったりします。

こちらの『月うさぎ』もおすすめ。

『月うさぎ』焼き皮製備中餡《川口屋》
▪︎販売価格:1個330円(税込) 
▪︎賞味期限:製造日より2日間

焼き皮にポンと捺された2つの長い耳だけで、うさぎを思わす意匠となっています。ちゃーんと、うさぎに見えるから不思議。今にもぴょんぴょん飛び出していきそうな風情ですね。

焼き皮の表面のふさふさ感が、うさぎの毛並みのような柔らかさを醸し出しています。愛らしいですね。

今回ご紹介した和菓子店舗、フリーランス和菓子職人

《美濃忠》本店

住  所〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸ノ内1-5-31
地下鉄鶴舞線・桜通線「丸の内」駅8番出口より 徒歩5分
丸の内駅から301m
電  話
FAX
ホームページ
052-231-3904(代)
052-231-1804
http://www.minochu.jp/
営業時間9:00~18:00
休業日年中無休

《美濃忠》JR名古屋高島屋店

住  所〒450-6001
愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 ジェイアール名古屋タカシマヤ地下1階 和菓子売場
JR名古屋駅直結・名鉄名古屋駅から163m
電  話052-566-8551
営業時間10:00~20:00
休業日※店休日・営業時間は百貨店の営業に準じます。

《和の菓さんのう》フリーランス和菓子職人

製造者フリーランス和菓子職人 三納寛之
住 所岐阜県瑞穂市野白新田337-1-102
電話番号090-3834-3444
定期販売
日·場所
◇ 名古屋三越星ヶ丘テラス The Kitchen2階  
毎月第2火曜日・第3日曜日 
◇ 岐阜県本巣市atelierフェリス 
毎月第4水曜日
インスタグラムで予約可

《両口屋是清》八事店

住所468-0061
愛知県名古屋市天白区八事天道302 GoogleMap
・地下鉄名城線・鶴舞線「八事」2番出口徒歩3分
・駐車場:6台有り
電話052-834-6161
営業時間販売:9:00 〜 18:00
喫茶:11:00~17:30(L.O.17:00)
※コロナの影響により営業時間が変更になる場合があります。詳しくは公式サイトまで
休業日毎週水曜日

《川口屋》

住 所 〒460-0003
愛知県名古屋市中区錦3-13-12

・名古屋市営地下鉄「栄」駅から徒歩約4分
電話052-971-3389
※御菓子の予約は1個からお電話にて承っております。
営業時間9:30~17:30 
休業日日曜日・祝日・第3月曜日

《鈴懸》&《仙太郎》JR名古屋高島屋店

住 所 〒489-0867
愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 ジェイアール名古屋タカシマヤ 地下1階 和菓子売場
営業時間百貨店の営業時間に準じます
休業日百貨店の定休日に準じます

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