こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
本日は【中秋の名月(十五夜)】、一年を通じて月が最も美しいといわれる頃ですね。みなさんは、美しい満月をご覧になりましたか?と言いたいところですが、あいにくの天気ですね。残念。
実は、旧暦と月の満ち欠けが一致しているわけではないので、必ずしも【中秋の名月】が満月になるとは限りません。今年は、旧暦8月15日と月齢が8年ぶりに一致した年になります。
【中秋の名月】は別名「芋名月」ともいいます。これは、里芋やさつま芋の収穫時期に重なることから、豊作祭としての意味合いもあったことに由来します。
今回は【中秋の名月】に欠かせない「薄(すすき)」をモチーフとした和菓子をご紹介したいと思います。
『花芒』羽二重餅製


『花芒(はなすすき)』1個324円 賞味期限2日《美濃忠》
月明かりに照らされた芒(すすき)の姿を、黄色の羽二重餅と芒の焼き印で表現した一品です。羽二重餅に練り込まれた小豆の欠片が、まるで芒の花穂が風に舞っているかのようにも見え、趣深さを感じさせますね。『花芒』の世界観に合うよう手拭いも月の見立てで幻想的な雰囲気にしてみました。
お月見に「すすき」を一緒に飾るのは稲穂の見立てであり、邪気払いのパワーがあるとされる「すすき」で災いから農作物を守り、来年の豊作祈願をするためです。
ひとくちメモ

- ふんわりとした羽二重餅製。ほんのりと甘い。
- 中は大納言粒餡。粒大きめで食べごたえがある。
- すーっと甘さが消える上品な仕上がり。
『尾花の里』こなし製


『尾花の里』1個335円 賞味期限2日《両口屋是清》
「尾花」とはススキの別名。風に揺れるススキの花穂が、動物の尾に似ていることが由来です。
尾花(ススキ)の群生の美しさは【秋の七草】として、万葉集にも詠まれています。
萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花また藤袴 朝貌(あさがお)の花
『万葉集』山上憶良
『尾花の里』はグラデーションに色付けされたこなし製で、小豆こし餡をくるりと巻いた一品です。橙~黄緑~黄色の移り変わりが、彩り豊かな秋の山々の見立てなんでしょうね、きっと。
…もう、ほんとに写真に色を反映させるのが大変でした。
『阿波もち』求肥製白餡


『阿波もち』1個378円 賞味期限1日《万年堂》
すすきを意匠とした上生菓子で、粟のプチプチ感が堪能できる一品です。『花芒』や『尾花の里』のすっきりとしたデザインに比べて、粟の上に描かれた「すすき」がざらりとした印象を与えます。面白いですね。
粟はミネラル・食物繊維が豊富な五穀米のひとつとして、近年注目を集めている素材です。和菓子作りでは、米粉に粟を混ぜ込むと胃もたれしにくくなると重宝がられているんですよ。
ひとくちメモ

- 求肥製のつるんとした食感と粟のプチプチ感の違いが面白味を生んでいる。
- 中は白餡。濃厚な甘さが後からやってくる。
今回ご紹介した和菓子店舗
《美濃忠》本店

住所:名古屋市中区丸ノ内1-5-31
電話番号:052-231-3904(代)
営業時間:9:00~18:00
定休日:年中無休(元日を除く)
《両口屋是清》八事店

住所:愛知県名古屋市天白区八事天道302
地下鉄名城線・鶴舞線「八事」2番出口徒歩3分
営業時間:9:00 〜 18:00(当面の間 9:00~17:00)
喫茶:11:00~16:00(L.O.15:30)
定休日:毎週水曜日
電話番号:052-834-6161
駐車場:6台有り
《万年堂》

住所:名古屋市千種区山門町2丁目34番地
地下鉄 東山線 「覚王山」駅1番出口より徒歩3分
電話番号:052-753-3311
営業時間:午前9時~午後5時30分
定休日:火曜日
(縁日の21日が火曜日の場合は営業し、翌水曜日が定休日となります)
コメント