和菓子の製法~『かるかん製』

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

和菓子の製法シリーズ第16弾、今回は『かるかん製』についてお話ししたいと思います。

子どものころ、おやつに手軽に食べていた『かるかん饅頭』、大人になったら手に取ることが少なくなりました。ほかの美しい和菓子に目を奪われて、かるかん饅頭の素朴さからは遠ざかってしまったんですね。「ういろう」もそうですが、上生菓子の素材として使われていると知ったときには、驚きとともに懐かしさを感じたものです。

参考:和菓子の製法~『ういろう』編

『かるかん』の製法

『かるかん』は、鹿児島県の銘菓として広く愛される蒸し菓子の一種です。

参考:『生菓子』と『干菓子』、そして『半生菓子』の違いを知ろう

『かるかん』の発祥は、薩摩藩の第11代藩主・島津斉彬公が参勤交代の際、保存食の研究のために江戸から連れ帰った菓子職人・八島六兵衛(明石市出身)によって考案されたという説が有力とされています。その八島六兵衛が薩摩に創業した和菓子屋が《明石屋》です。

真っ白でフワッとした『かるかん』、中に餡が入ったものがポピュラーですが、餡入りのものは棹菓子の『かるかん』が生まれた約150年後に登場したと云われています。

『かるかん』の製法[材料:山の芋、砂糖、上新粉(かるかん粉)、水]

  • 皮を剥いた山の芋をすりおろす。
  • 1に砂糖を3回に分けて混ぜ入れる。
  • 水を加え、こしを保つようにゆっくりと混ぜる。
  • 上新粉(かるかん粉)を一気に加え、ダマにならないようにサクッと混ぜる。
  • 型に入れて蒸し上げる。

蒸し菓子の『薯蕷製』と材料もほぼ一緒なのに、味わいが違うのは興味深いですね。

参考:和菓子の製法~薯蕷(じょうよ)饅頭製

くるりと巻いた形がキュートな『かるかん』製

『木ノ芽の便り』賞味期限2日《両口屋是清》※2019年購入

こし餡をくるんだ若草色に染められた『かるかん』製で、春の柔らかな情景を描きました。“木ノ芽”の下の『かるかん』生地の部分に少し焼き色が入っているのも、芽が出てきたばかりの大地を表しているかのようですね。

この長方形が可愛らしくて、春の季語と和菓子 ②の回でも取り上げています。

季節の情景を『かるかん製&羊羹&浮島』棹菓子で

『雅の初夏』半棹820円 賞味期限4日《松華堂》

『かるかん』は、漢字で軽羹と書きます。羊羹のような棹菓子で、蒸すと軽くなることからこの字があてられたとのことです。

水色のかるかんと柳色の浮島、間に若葉色の羊羹とグラデーションが美しい棹菓子です。しっとりとした浮島と、ほわっと優しい伊勢芋の『かるかん』が、絶妙な組み合わせとなっています。伊勢芋は濃厚なコクが特徴の山の芋で、東海地方ではよく使われている素材になります。この『雅の初夏』も風味豊かで、ほかの季節の棹菓子も食べてみたくなりました。

カラフルな『かるかん』製

『水辺の蛍』1個335円 賞味期限2日《両口屋是清》

清流の周りで飛び交う蛍を『かるかん』の黄色で表現した一品です。『かるかん』の色分けが素敵ですね。まるで、夜の帳を待ちきれず淡い光を放ち飛ぶ数匹の蛍たちの生命力と、渦巻きで表した水の流れが共鳴しているかのようです。

今回ご紹介した和菓子店舗

《御菓子所松華堂》

住所:愛知県半田市御幸町103番地 

電話番号:0569-21-0046営業時間:8時30分~17時30分

定休日:毎週水曜日・第三火曜日 ※1月1日・2日桃の節句、端午の節句、お盆、12月後半は休まず営業

名鉄知多半田駅から徒歩10分 

JR半田駅から徒歩3分

《両口屋是清》八事店

住所:愛知県名古屋市天白区八事天道302

地下鉄名城線・鶴舞線「八事」2番出口徒歩3分

営業時間:9:00 〜 18:00(当面の間 9:00~17:00)

喫茶:※6月21日より再開 11:00~16:00(L.O.15:30)

定休日:毎週水曜日

電話番号:052-834-6161

駐車場:6台有り

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