こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
燕が飛んでる姿を見かけることが多くなってきましたね。子どもが小さい頃、保育園の開園時間を待ちながら、軒下の燕の姿を一緒に眺めていたことをふと思い出しました。朝の慌ただしい時間の、ほんのちょっとのゆとり。まぁ、あっという間に巣立っちゃうんですけどねー。
さてさて今回は、春の季語と和菓子の第2弾。どんな風景がみられるでしょうか。
第1弾はこちらから→春の季語と和菓子
『春の山』ういろう製
光を放つように生命力に溢れた春の野山に、ひらりと桜の花びらが舞い降りてきました。そんな物語が思い浮かぶ一品です。
ひとくちメモ
◇若草色の皮がういろう製なので、うっすら光を帯びているように見える。 ◇むちっとしたういろうを噛むと、中からは黄み餡の甘味。黄み餡はこっくりとした味わいで美味しい。 ◇桜の花びらはこなし。こんな小さな桜なのに、中心部の黄色も立体感があって感動すら覚えます。 |
『春の川』きんとん製
雪解け水を湛えて流れる、澄んだ春の川を意匠とした一品です。少し緑を含んだ水色に見えるのは、川面にうつる若葉の色でしょうか。
ひとくちメモ
◇きんとんは練り薯蕷製。ふんわり柔らかな口当たりが、春の水の柔らかさ、暖かさを思わせる。 ◇水の流れを小田巻(きんとんの打ち出し方)という技法で表現している。水は生命の源だねー。 ◇中は餡ではなく道明寺。きんとんと道明寺のつぶつぶ感のバランスが絶妙。 |
『花筏(はないかだ)』道明寺製
花筏は、晩春に小さな緑色の花をつけるミズキ科の植物です。ただ、もうひとつの意味合いのほうが和菓子にはよく使われます。
水面に散った桜の花びらがまとまって流れ、筏のようにみえる様子のことです。散り際までも美しい桜の情景を表しています。
小ぶりな道明寺に桜の焼き印。小鳥の懐紙に置くことで、桜の花びらが流れる川辺に、野鳥が寛ぐさまの見立てをしてみました。
ひとくちメモ
中の備中餡(こし餡)がこの上なく美味しい。 備中餡に刻み桜の塩漬けが入っていて、味のアクセントになっている。 備中餡製だと10円アップの330円。10円余分に払っても惜しくない、是非ともまた食べたい風味のよさ。 |
『木ノ芽薯蕷』薯蕷製
季語は『木の芽』になりますが、読み方が二通りあります。『きのめ』と読めば、山椒の芽を表します。山椒のさわやかな香りがする木の芽和えや木の芽味噌は、おいしいですよね。
『このめ』と読んだ場合は、春の樹木の芽吹きのことを表します。
《鈴懸》の『木の芽薯蕷』の商品説明には、“山椒の若芽の生命力を感じさせてくれる一品”とありましたので、『きのめ』と読むほうが良さそうですね。
ひとくちメモ
◇3月に販売される定番商品。フワッとした薯蕷に、中はこし餡。 ◇毎日でも食べられる、ほっとする味わい。 ◇小ぶりな薯蕷いっぱいに伸びやかな木の芽が、春の息吹きを感じさせてくれる。 ◇《鈴懸》さんは、全体的に可愛らしい意匠のものが多い印象です。 |
こちらは《両口屋是清》の『木ノ芽の便り』かるかん製↓
◇“便り”に相応しい、長方形で作られている。 ◇かるかん製なので、軽やかな口当たり。 ◇ポツンとある木の芽が、まるで封筒に貼られたシールのようで愛らしい。 |
まとめ
いかがでしたか?
本来、時期的には晩春なのですが、春全体にかかる季語を多く取り揃えました。
春の季語の区分
◇初春:立春から啓蟄の前日まで
◇仲春:啓蟄から清明の前日まで
◇晩春:清明から立夏の前日まで
初春~晩春までの全ての期間に共通する季語を「三春」といいます。
花筏だけは晩春の季語ですね。
晩春の花の藤も躑躅(つつじ)も、まだ早い印象だったので、今回は見合わせました。
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