こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
毎年この時期は、大掃除で身体を痛めたり(私&子ども担当)、年賀状制作が進まず内心イライラしたり(夫担当)と、バタバタした日々を過ごしがちです。ところが今年は、大掃除も(程々に)計画通り&健康的に進み、年賀状も29日には投函出来るという…どうした!やればできるじゃないか👏状態となっています。もう残すは、31日に正月用和菓子を受け取りに行くのみだ!
ということで、今年食べた「月間和菓子9選」よりベストワンをみてみようと思います。
1月のベストワン『富士遠望』
左上から順に
- 『松』うぐいす餡求肥 &『竹』 こなし製 &『梅』練りきり製 《鈴懸》
- 『御題菓 生る』こなし製《鈴懸》
- 『御題菓 里の神楽』村雨製《両口屋是清》
- 『うぐいす餅』《花桔梗》
- 『富士遠望』淡雪羹&吉野羹《両口屋是清》
- 『雪の華』鹿の子製 &『紅梅』 練りきり製 &『早春』きんとん製道明寺芯《和の菓さんのう》
- 『雪うさぎ』羽二重餅製《和の菓さんのう》
- 『葩餅(はなびらもち)』《鈴懸》
- 『若菜野』大島きんとん製《美濃忠》
1月のベストワンに選ばれたのは『富士遠望』
霊峰富士を背に茜色に染まる瑞祥あふれる新春の夜明け。淡雪羹と吉野羹で美しく表現されています。毎年のように両口屋是清さんで販売される『富士遠望』ですが、今年の意匠には心惹かれるものがあります。
「吉野羹」とは 煮詰めた錦玉に葛粉を入れて固めたもので、少し半透明のやさしい感じの仕上がり。奈良県吉野地方が良質な葛の産地であることに由来。 |
2月のベストワン『下萌』
左上から順に
- 『咲き分け』きんとん製《花桔梗》
- 『玉椿』ういろう製《両口屋是清》
- 『初名草』こなし製《美濃忠》
- 『梅の里』煉薯蕷製《両口屋是清》
- 『西王母』こなし製栗あん《鈴懸》
- 『ババロアショコラ』&『くりは奈』生栗らくがん《小布施堂》
- 『此の花』こなし製&『雪中梅』煉薯蕷きんとん製《川口屋》
- 『下萌』しぐれ製柚子餡《川口屋》
- 『升』豌豆と大納言&『お多福』薯蕷製《鈴懸》
2月のベストワンは『下萌』としました。
『下萌』とは早春、地中から草の芽が出始めること、またその芽を指します。
しぐれ製は、表面の亀裂が特徴の和菓子です。けっして、落として割ってしまったわけではありませんよ(笑)。下の餡は抹茶と同じく、美しい緑色をしています。黒文字をスッと入れた時の感動よ!写真では上手く撮れてないのが残念なほどです。茶色の地面からエネルギーを蓄えた芽が、今か今かと春を待ちわびているさまが表現されている一品🌸さっぱりとした柚子餡も爽やかさを感じさせました。
3月のベストワン『山笑う』
左上から順に
- 『初蝶』ういろう製《花桔梗》
- 『さくらのこはく』琥珀糖《和の菓さんのう》
- 『山笑う』きんとん製道明寺芯《和の菓さんのう》
- 『あんぷさくら』麩まんじゅう《大口屋》
- 『引千切』きんとん製&こなし製《川口屋》
- 『芽生え』道明寺&羽二重餅《川口屋》
- 『うららか』きんとん製《鈴懸》
- 『菜の花きんとん』きんとん製《花桔梗》
- 『花籠』蓬餅&きんとん《花桔梗》
3月のベストワンは、ものすごーく悩んだけど『山笑う』にしました。京都のひな祭りでお馴染みの『引千切』も華やかで、3月の代表格というべく和菓子です。ただ、「山笑う」の言葉の響き・情景の広がりが好きなんですよね。
“山笑う”は、俳句で春の季語。
春の山の草木が一斉に芽吹き、明るい感じになるさまをいいます。
《和の菓さんのう》さんの『山笑う』は、きんとんで道明寺餅を包んでいるので、餡玉が芯のものよりも甘さ控えめな仕上がりになっています。
うっすらとしたピンクと緑が、その息吹を表していますね。春の淡い色の重なりは、艶っぽさすら感じさせます✨
参考:3月食べた和菓子9選
4月のベストワン『佐保姫』
左上から順に
- 『藤の花』薯蕷製《万年堂》
- 『春の山』ういろう製黄身餡《三好屋老泉》
- 『花くれない』練り薯蕷きんとん製《万年堂》
- 『つつじ花』こなし製《両口屋是清》
- 『松の藤』きんとん製《両口屋是清》
- 『佐保姫』薯蕷製《川口屋》
- 『花筏』道明寺製備中餡《川口屋》
- 『春の川』きんとん製道明寺芯《川口屋》
- 『藤結び』こなし製《万年堂》
4月のベストワンには『佐保姫』が選ばれました。
素朴な薯蕷饅頭も、きれいな桜色に染まるだけで何とも華やか。つやつやの薄皮も春の息吹を感じさせますね。
『佐保姫』は春を司る女神です。秋を司る竜田山の「竜田姫」と東西・春秋の一対の女神とされ、ほかにも夏を司る「筒姫」、冬を司る「宇津田姫」が御座します。
参考:4月食べた和菓子9選
5月のベストワン『翡翠』
左上から順に
- 『井出の里』練り薯蕷きんとん製《川口屋》
- 『新緑』練り切り製《和の菓さんのう》
- 『早苗』薯蕷きんとん製白小豆つぶ餡《巌邑堂》
- 『風薫る』薯蕷製《俵屋吉富》
- 『青梅』ういろう製《俵屋吉富》
- 『若楓』羽二重餅製《和の菓さんのう》
- 『カーネーション』きんとん製《鈴懸》
- 『ひとくち生ういろう伊勢茶』ういろう製《青柳総本家》
- 『翡翠』練り切り製こし餡《巌邑堂》
5月のベストワンは『翡翠』で決まり!
『翡翠』とはかわせみの別名。鮮やかな羽色のかわせみは、その美しい姿から“渓流な宝石”ともいわれている水辺の鳥です。
初夏の光を受けて、宝石のように輝かんばかりの羽色が色鮮やかに表現されています。ほぉっと、ため息が溢れるほどの麗しさですね。
参考:5月に食べた和菓子9選
6月のベストワン『雨上がり🌈』
左上から順に
- 『はちす』蓮根餅製《美濃忠》
- 『あんぷちゃちゃ』麩まんじゅう《大口屋》
- 『恋心』琥珀糖《和の菓さんのう》
- 『T五能作』干菓子《薄氷本舗五郎丸屋》
- 『ひとくち生ういろう日本酒白老』ういろう製《青柳総本家》
- 『紫陽花きんとん』練り薯蕷きんとん道明寺芯《川口屋》
- 『手鞠花』マスカット錦玉《和の菓さんのう》
- 『雨上がり』羽二重餅製《和の菓さんのう》
- 『みどりの雫』こなし製《両口屋是清》
6月のベストワンは『雨上がり』。こんな素敵な和菓子があれば、雨の憂鬱さも吹き飛ぶんじゃないでしょうか。
中の虹の部分がどのようになっているのか気になって、すだれ状の錦玉を捲ってみました(お行儀が悪くてすみません🙇)。色ごとの錦玉がそれぞれ乗せてあるのかと思っていましたが、グラデーションで色分けされた錦玉で虹を表現していました。横2cm×縦3mm程度の大きさの1枚の錦玉に、いったいどうやって色付けしたのでしょう。感動すら覚えます。
参考:6月に食べた和菓子9選
《和の菓さんのう》さんのインスタグラムで、虹のパーツのみの写真が投稿されています。その幻想的な雰囲気は息をのむほど美しいです。
7月のベストワン『星の夜』
左上から順に
- 『Piece(ピース)』薬膳×干菓子《三好屋老泉》
- 『金魚』ライチ風味錦玉製&淡雪羹《和の菓さんのう》
- 『ひとくち生ういろう星空ミント』《青柳総本家》
- 『星の夜』錦玉製&羊羹製《両口屋是清》
- 『下剋上鮎』干菓子《玉井屋本舗》
- 『糸巻き』小田巻きんとん《川口屋》
- 『包み餅~祇園祭バージョン』餅製《御室和菓子いと達》
- 『あんぷれもん』麩まんじゅう《大口屋》
- 『水中花』錦玉製ブルーベリーソース《川口屋》
7月のベストワンは『星の夜』です。
息をのむほど美しい✨とはこのことか…と思うほどの仕上がりですね。幾層にも色を重ねた錦玉製で壮大な星空を、土台の羊羹で夜の漆黒を表した一品です。
この他にも、7月は【七夕の節句】にちなんだ様々な和菓子で楽しみました。
参考:7月に食べた和菓子9選
8月のベストワン『月桂樹』
左上から順に
- 『ひとくち生ういろう向日葵』ういろう製《青柳総本家》
- 『笹結び』葛蕨製《和の菓さんのう》
- 『女郎花』きんとん製《万年堂》
- 『桔梗』きんとん製《御菓子処わたなべ》
- 『フルーツせんべいキウイ』《長良園》
- 『初萩』葛蕨製《花桔梗》
- 『月桂樹』練りきり製《両口屋是清》
- 『爽夏』ミント風味錦玉パイナップル餡《和の菓さんのう》
- 『餡麩三喜羅(あんぷさんきら)』麩まんじゅう《大口屋》
8月のベストワンは、オリンピックをモチーフとした『月桂樹』です。
今年は、オリンピック&パラリンピック開催にともない、各和菓子店で記念和菓子が販売されました。まさに、今この時しか食べられないものです。
賛否両論ありましたが、終わってみれば選手たちの活躍に、凛と立つ姿に、心を震わせたことばかり思い出されます。『月桂樹』、いったい何人が誇らしい気持ちでこの勇者の冠を受け取ったことでしょう。
参考:8月に食べた和菓子9選
9月のベストワン『着綿』
左上から順に
- 『森のしらべ』羊羹製《和の菓さんのう》
- 『ふわふわわぬき 栗クリーム』どら焼き《和む菓子なか又》
- 『着綿』薯蕷製肉桂餡入り《とらや》
- 『栗もち』葛蕨製大島餡《両口屋是清》
- 『栗雫』栗きんとん羊羹製栗甘露煮入り《和の菓さんのう》
- 『黄菊』きんとん製《万年堂》
- 『着綿』こなし製《鈴懸》
- 『栗きんとん』きんとん製道明寺芯《川口屋》
- 『延年』羊羹製《とらや》
9月のベストワンは《とらや》バージョンの『着綿』に決まりました。
【重陽の節句】における『着綿(きせわた)』は、やはり外せない。毎年、菊の花に綿が乗っている意匠の和菓子をいただくのですが、《とらや》のは一風変わった肉桂(ニッキ)入り餡の薯蕷饅頭。
か、辛い!?と、驚きとともに食べた一品です。陰陽五行における五味の「辛」が秋を表すので、肉桂の辛味はそれに則したものなのでしょう。
また、肉桂には血行促進したり、胃腸の働きをよくしたりする作用があるので、不老長寿を願う【重陽の節句】にはぴったりの素材といえますね。
参考:9月に食べた和菓子9選
10月のベストワン『潜龍』
左上から順に
- 『あんぷほうじ茶』麩まんじゅう《大口屋》
- 『どらボールさくら』どら焼き《花かんざし》
- 『潜龍』焼き皮備中餡《川口屋》
- 『お月見うさぎ』薯蕷饅頭《鈴懸》
- 『果の彩 うすべに』羊羹製《鶴屋吉信》
- 『林檎』ういろう製林檎餡《輪の菓さんのう》
- 『月の雫』葛製《川口屋》
- 『ほうじ茶プリン』《東白茶寮》
- 『ひとくち生ういろう白老梅』《青柳総本家》
10月のベストワンは、【曾我蕭白】展とのタイアップ和菓子『潜龍』です。
美しい青に心惹かれて買い求めた『潜龍』。『潜龍』は有名な雲龍図を意匠とした一品。焼き皮の白は雲を、小さな龍が潜む水中を餡に色づけした水縹(みなはだ)で表現しています。
龍は龍でも大空に君臨する飛龍ではなく『潜龍』としたのも、【曾我蕭白】の描く龍が堂々した龍ではなく、どこか困ったような表情を浮かべる独特な龍だからこそ。
参考:10月に食べた和菓子9選
11月のベストワン『山紅葉』
左上から順に
- 『鬼うゐろう』鬼まんじゅう&ういろう製《両口屋是清》
- 『山紅葉』大納言鹿の子豆《和の菓さんのう》
- 『亥の子餅』黒糖入り求肥餅製《花桔梗》
- 『リス&きのこ』なまささら《和菓子結》
- 『銀杏餅』道明寺製こし餡《御菓子所まつ月》
- 『茶三昧』黍入り焼き皮製《京菓子司 亀広良》
- 『ひとくち生ういろうマロングラッセ』《青柳総本家》
- 『紅葉渓』薯蕷製小豆こし餡小玉薯蕷入り
- 『五穀餅』《叶匠寿庵》
11月のベストワンは『山紅葉』です。
秋の風情が感じられる和菓子が目白押しになる11月。紅葉そのものを型どったものもあれば、色彩で秋景色を想像させるものもあり、和菓子を見ているだけでウキウキしてきます。
その中でも『山紅葉』は、紅葉のグラデーションの美しさに目がくぎ付けになった一品です。小さな和菓子に、雄大な秋模様が感じられました。
参考:11月に食べた和菓子9選
12月のベストワン『糸菊』
左上から順に
- 『リース』大納言鹿の子&羊羹製《和の菓さんのう》
- 『ひとくち生ういろう上がり柚子』《青柳総本家》
- 『冬牡丹』練り薯蕷きんとん製白小豆鹿の子《両口屋是清》
- 『糸菊』小田巻きんとん製道明寺芯《御菓子所芳光》
- 『雪だるま』練りきり製フランボワーズ餡《和の菓さんのう》
- 『木守』薯蕷製 柿混じり白小豆こし餡
- 『あんぷゆず』麩まんじゅう《大口屋》
- 『花元町』6色味もなか菓子《香炉庵》
- 『笹の雪』道明寺餅製大島餡《川口屋》
12月のベストワンは『糸菊』といたしました。
やっと行けた《御菓子所芳光》。陳列された和菓子にテンション上がりましたねー。
小田巻きんとん製の華やかさが好きで、和菓子屋さんで見つけると必ず買ってしまいます。『糸菊』は、芯となる道明寺の口当たりがなめらかで、絶品でした。きんとん餡とのバランスも、この上なく良かったです。
参考:12月に食べた和菓子9選
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