藤の花と和菓子

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

桜の季節が終わり、藤の花が台頭してきました。藤の季節になると、そろそろ花粉症薬を飲まなくても過ごせるかなぁと思案します。ちょうどこの頃は喉が不調になりやすく、注意が必要だったりします。

鬼滅の刃で脚光を浴びた藤ですが、鈴なりになっている花房を美しく撮るのは至難の技ですね。藤は長寿で繁殖力も強く、十大家紋にも選ばれている花です。

十大家紋とは

日本の家紋のうち、広く使われている家紋です。ほかには、柏紋・桐紋・橘紋・片喰紋・鷹の葉紋・木瓜紋・蔦紋・沢潟紋・茗荷紋

今回は、そんな藤の花にまつわる和菓子をご紹介していきたいと思います。

『藤結び』こなし製

《万年堂》1個378円

《万年堂》の上生菓子は、茶席に合うように濃厚な甘さで作られていて、それでいて抹茶を飲むと口の中からスッと甘さが消える見事な出来栄えとなっています。

『藤結び』とは、着物の帯締めの結び方の一種で、振袖や華やかな席に向く帯締め方法のようです。てっきり、手紙に藤の花を結んでやり取りする風流なしきたりかな?と思っておりました。

くるりと白つぶ餡を巻いているので、黒文字で切ったときに色の断層が楽しめますね。

ひとくちメモ

  • 紫と白のコントラストが美しい。白の分量が多いのに、目を引くのはやはり美しい紫。
  • 中は白つぶ餡。むちっとした弾力で、食べ応えがある。
  • 中の白餡もちょっと顔を出すデザインの興趣さ。

『藤波』こなし製

《両口屋是清》

『藤波』とは、藤の花が風で波のように揺れ動くことをいいます。芳香とともに優雅に風に揺らめく姿は、思わずお菓子に仕立ててみたくなりますよね。

少し斜めに引かれた線が、風に揺れている藤の花房を表している一品です。わずかな横線を入れることによって藤の花を彷彿させる粋な意匠になっています。

『藤波』薯蕷製

《鈴懸》1個400円

ふっくらとした白い薯蕷饅頭にうっすらと透ける紫。藤色の由来通り、藤の花といえば薄紫色を思い浮かべますが、白い品種の藤もあります。

見比べて見ると藤の花びらの形にそっくりですね。ひとつだと、藤波の感じが出ないのが少し残念です。

同じ菓銘でもこんなにも意匠が違うので、和菓子の世界は興趣が尽きません。

美しく透けて見える藤色が、どんな風になっているかが気になって、半分に割ってみました。どうやって色付けしているのでしょうね。

『藤の花』薯蕷製

《花桔梗》1個324円 消費期限1日

シンプルな丸い薯蕷に、鈴なりになっている藤の花の焼き印がされています。藤色の粉らしきものがかかっているので、店員さんにお尋ねしたら『いら粉』だと教えてくださいました。いら粉の紫が少量ながら光ってみえ、それが美しく風になびく藤を表現しています。

いら粉とは

もち精白米を蒸し上げた後よく乾燥させ、さらに粉砕し少しずつ煎りあげたもの。新引粉・真引粉とも呼ばれる。

シンプルな薄皮の薯蕷製にたっぷり詰まったつぶ餡。あっさりとして上品な味わいです。

『松の藤』きんとん製

《両口屋是清》1個346円 消費期限2日

あれっ、藤なのに松?と思われた方もいるでしょう。松に藤は、古来から関係性が深く、自然の中では藤は松を支えにし、絡まるようにして花房を揺らめかせます。松に藤は、和歌や随筆にもよく詠まれる組み合わせです。

みどりなる松にかかれる藤なれどおのが頃とぞ花は咲きける

新古今和歌集 紀貫之

《源氏物語》にも藤壺女御をはじめ、『藤袴(第30帖)』や『藤裏葉(第33帖)』と藤の名が入っていたりしますね(まぁ、源氏物語が栄華を極めた藤原家や平安時代の貴族社会を描いた物語なので『藤』が出てくるのは当然ともいえる)

ひとくちメモ

  • 銘々皿に移すときに崩れそうなほどの柔らかめのきんとん。
  • 中は小豆つぶ餡。
  • 松に藤の見立てらしく、太めの緑のきんとんの上に、細かな紫のきんとんが乗っている。
  • 松(緑色)はねっとりとした食感、藤(紫色)はややあっさりとした味わい。
  • アクセントの小豆はやや歯ごたえあり。

今回ご紹介した和菓子店舗

万年堂(まんねんどう)

※こちらの店舗は2021年5月中旬まで

名古屋市東区東桜2-17-21

定休日 日曜日

営業時間 9:00~18:00

2021年6月からの店舗情報

名古屋市千種区山門町2丁目34番地 

地下鉄 東山線 「覚王山」駅1番出口より徒歩3分

電話 052-753-3311

営業時間/午前9時~午後5時30分定休日/火曜日

(縁日の21日が火曜日の場合は営業し、翌水曜日が定休日となります)

《鈴懸》《両口屋是清》《花桔梗》はすべて【JR名古屋高島屋B1F】

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