こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
8月23日から暦の上では【処暑】に入りました。厳しい夏の暑さの峠を越え、朝夕の涼しさが感じられるようになる頃と云われています。和菓子の世界も、夏の気配を残しながら、少しずつ秋の声が聞こえるようになりました。
和菓子もそろそろ夏仕舞い。夏場は、餡も製法も口当たりのよいさっぱりしたものが好まれます。今回は、夏の風物詩を色んな餡で表現した《和の菓さんのう》さんの「季節の上生菓子セット」をご紹介したいと思います。
『金魚』ういろう製すだち餡
うっすらと水色に色づくういろう製に、赤・黒2匹の『金魚』が仲良さげに泳いできました。水紋の型抜きで錦玉を波紋に見立て、2匹の金魚の動きを表現しています。
水色の部分は、ういろう製に色づけされているのかなと思って割ってみると、なんと!
色づけされた中の餡が、暈し技法でういろう製の外皮を通して仄かに見えていたんですね。
写真に撮るとなかなか色味が出ないなと苦戦したのですが…微かに残る夏の気配を表すには、これくらい抽象的な方がよいのかもしれませんね。風味のよい「すだち」を餡に練り込むことで、爽やかな酸味とともに秋の訪れを知らせる、至妙の芸術ともいえる一品に仕上がっています。
ちなみに「7月の上生菓子セット」にも同じ菓銘『金魚』が入ってましたが、表現方法がまるっきり違います。
水の冷たさや優雅に泳ぐ『金魚』の姿がみごとに表現された一品です。こちらの食べたひとくちメモは、夏が来た!金魚モチーフの和菓子3選をご覧ください。
『夏夜』ほうじ茶みぞれ羹 大納言鹿の子豆
昨年は『うたかた』という菓銘で同じ素材の和菓子が販売されていましたが、今年は姿を変えて再び戻ってきました。《和の菓さんのう》さん曰く、お客様からのリクエストが多かった御菓子だそうです。まるっきり同じものを作るより、違うもので(和菓子の世界を)楽しんでいただきたいーその思いで出来上がったのが、こちらの『夏夜』です。
透明感のある茶(ほうじ茶)と中の黒(大納言鹿の子豆)で、幻想的な夏の夜を演出しています。
中を割ってみると、こんな感じ。
こちらのアングルの方が、みぞれ羹の様子がよく写っていますね✨
ひとくちメモ
◇2種類の寒天を使い分けて、食感の違いを出したみぞれ羹。 ◇ほうじ茶の香ばしさが絶妙。 ◇大納言鹿の子豆のほっくり感、上品な甘さがほうじ茶との相乗効果でおいしさアップ。 ◇これは、来年も食べたい味!リクエストしたい💓 |
『爽夏』ミント風味錦玉製 パイナップル餡
きらきら光る錦玉から透けてみえるのは、鮮やかなレモンイエローの餡。パイナップルは食物繊維・ビタミンC・ミネラルが豊富なので、夏に積極的にとりたい果物です。
甘酸っぱい餡の後味が爽やかに香るのは、錦玉にミントが含まれているおかげ。夏の高原を、自転車で駆け抜けるような爽快感を味わいました。ちょっと新感覚な味わいでしたね。
8月の上生菓子セット一覧
左上から順に
- 『笹結び』黒糖葛蕨製 小豆こし餡
- 『宵花火』練りきり製 小豆こし餡
- 『爽夏』ミント風味錦玉製 パイナップル餡
- 『夏夜』ほうじ茶みぞれ羹 大納言鹿の子豆
- 『桔梗花』きんとん製 白餡
- 『金魚』ういろう製 すだち餡
『笹結び』の味わいについては、きっと、着物が着たくなる✨おすすめ和菓子『笹結び』へ。
美しい『宵花火』がどのように作られているか気になった方は、虹始見(にじはじめてあらわる)と春の和菓子をご覧ください✨
今回ご紹介したフリーランス和菓子職人
フリーランス和菓子職人《和の菓さんのう》
製造者 | フリーランス和菓子職人 三納寛之 |
住 所 | 岐阜県瑞穂市野白新田337-1-102 |
電 話 | 090-3834-3444 |
定 期販売日・場所 | 名古屋星ヶ丘テラス The Kitchen2階 毎月第2火曜日・第3日曜日 岐阜県本巣市atelierフェリス 毎月第4水曜日 ※インスタグラムで予約可 |
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