こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
今回ご紹介する和菓子は『花びら餅』。裏千家の「初釜の茶事」でふるまわれる伝統的和菓子です。正月料理でも縁起物として餅や牛蒡をいただきますが、『花びら餅』にはいったいどんな由来があるのでしょうか。
平安時代から伝わるお正月和菓子『花びら餅』の由来
以前は京都の和菓子屋さんでしか見かけなかった『花びら餅』も、全国的に店頭に並ぶようになりました。ふっくらとした餅皮にうっすらと透ける薄紅色の味噌餡、にょきっと飛び出ている牛蒡の姿に、いったいどんな和菓子なの?と訝しく思われた方もおられるでしょう。『花びら餅』の由来は平安時代まで遡ります。
平安時代、正月に執り行われる宮中行事に【歯固めの儀】というものがありました。紅白の餅、大根、猪、押鮎などの固いものを食べて、延命長寿を祈願する儀式です。『花びら餅』はその風習が簡略化されて広まったもの。甘く煮た牛蒡が押し鮎、味噌餡が猪の見立てになっています。
和菓子さんごとに牛蒡の本数や餡の色など違いがみられて楽しいものです。今回は色んな和菓子さんの『花びら餅』を食べ比べてみましょう。
※サイズ表示は餅の大きさのみで、ごぼうの長さは含まれません。
島根県松江《彩雲堂》の『花びら餅』
『花びら餅』《彩雲堂》 ▪︎販売価格:1個378円(税込) ▪︎賞味期限:製造日より10日間 ▪︎特定原材料等:大豆、卵 ▪︎栄養成分表示:1個(58g)あたり 178kcal
《彩雲堂》の『花びら餅』はシャープでやや大きめな求肥餅製のもの。島根県松江市は全国的に珍しい「茶の湯条例」があり、その中で《彩雲堂》の『若草』は松江三大銘菓として広く知られています。『若草』の要となる求肥を使って作られた『花びら餅』はもっちりと弾力があり、ふんわりと甘い仕上がりになっています。
原材料名 | 砂糖(国内製造)、米粉、ごぼう甘露煮、麦芽糖、手芒豆、水飴、白味噌、卵白、砂糖結合水飴、澱粉/トレハロース、酵素、着色料(赤3、赤106、黄5) |
中は薄紅色に染められた白味噌あんとサクサクとした歯応えが感じられる牛蒡の蜜煮。白味噌の味わいが濃厚で、やや塩味が強い味噌あんに仕上がっています。和菓子というよりも雑煮そのものをいただいている感覚に近いですね。
愛知県《小ざくらや一清》の『花びら餅』
『花びら餅』《小ざくらや一清》 ▪︎販売価格:1個345円(税込) ▪︎賞味期限:製造日より4日間 ▪︎特定原材料等:卵、大豆 ▪︎栄養成分表示:1個あたり 182kcal
代表銘菓『おほほっ』と同じく、溶けるように柔らかな特製羽二重餅製で作られた《小ざくらや一清》さんの『花びら餅』。手に持った瞬間に伝わるフワフワ感が堪りません。やや小ぶりで丸みを帯びた羽二重餅は愛らしいのに、ちらりと見える紅赤色が何とも艶やか。お正月の華やかな雰囲気を纏った一品です。
原材料名 | 砂糖(国内製造)、大手芒、ごぼう、羽二重粉、水飴、卵、大豆(西京味噌)/トレハロース、着色料(赤105、赤106) |
中は西京味噌入りの白餡を紅赤色の羊羹でくるりと巻いてあります。西京味噌を使っているので塩味は少なく甘みのある味噌あんに仕上がっていて、これが抜群においしい💕ごぼうはあっさりとした味わいで、ほどよい歯ごたえは羽二重餅の柔らかさにアクセントになっています。
余談ですが、《小ざくらや一清》さんといえば「芸能人格付けチェック」でたびたび美術品と見紛うばかりの創作和菓子を作られていらっしゃいます。10月に放送された回で多くの芸能人の方々が誤認された御菓子の「ストラディヴァリウス レッド・ダイアモンド(市場価格15億円)」が展示されているそうなので、ぜひ足を運んでみてくださいね。
京都府《御菓子司 聚洸》の『花びら餅』
『花びら餅』《御菓子司 聚洸》 ▪︎販売価格:迎春和菓子セット5個入りより 2,900円(税込) ▪︎賞味期限:製造日より2日間 ▪︎特定原材料等:卵、大豆 ▪︎栄養成分表示:100gあたり 197.3kcal
《御菓子司 聚洸》さんの『花びら餅』は柔らかな羽二重餅で透きとおるような牛蒡を包み込んだもの。美しい半円が描かれた意匠に凛とした風情が感じられます。
《聚洸》さんは2006年に創業、名店が立ち並ぶ京都では比較的新しい和菓子屋さんです。小さな店構えのため予約しないとなかなか購入出来ないと聞きますが、今回は迎春和菓子セットで巡り合うことが出来ました(ちなみに一度予約数完売となりましたが、後日たまたま数量に空きが出て購入に至りました)
原材料名 | 砂糖(国内製造)、羽二重餅粉、白小豆、ごぼう、卵白、白味噌、澱粉/着色料(赤3、赤105) |
半分に割ってみるとよく分かりますが、羽二重餅にふんわりと厚みがあることが見てとれます。ひとくち食べてシュワシュワッと軽やかな食感にまず驚きます。そして、中のまろやかな白味噌あん、すっきりと香る牛蒡の蜜煮のバランスの良いこと。至高の和菓子をいただいている喜びに浸れること間違いなしの一品です。
今回ご紹介した和菓子店舗
《彩雲堂》本店
《小ざくらや一清》本店
住 所 | 〒453-0064 愛知県名古屋市中村区草薙町1丁目89 ・名古屋市営地下鉄東山線「中村公園」駅3番出口徒歩7分 |
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電話 | 052-412-4014 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
休業日 | 毎週日曜日・第3月曜日・元旦 |
《御菓子司 聚洸》
住 所 | 〒602-0091 京都府京都市上京区筋違橋町548-4 □市バス(9,12,67系統)「天神公園前」下車 徒歩4~6分 □京都市営地下鉄烏丸線 「 鞍馬口」駅 徒歩15分 □京都市営地下鉄烏丸線 「 北大路」駅 徒歩17分 |
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電話 | 075-431-2800 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
休業日 | 水曜日、日曜日 |
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