こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
いつまでもフワフワ、モチモチとした食感を持つ『求肥』、好きな人も多いのではないでしょうか。子どもの頃に食べた『雪見だいふく』も求肥製のアイスですね。
5月20日放送のプレバトで、千原ジュニアさんも求肥の食感を、独特なオノマトペを使って詠んでいます。
とぅるとぅるの 求肥に透けている 苺
2021年5月20日プレバト 千原ジュニア
中の苺が透けている求肥に対する観察力、感性を言葉に変換できる才能を、夏井先生に絶賛されていました。“とぅるとぅる”は、思わず呟いてみたくなるオノマトペですねー。
今回は、さまざな和菓子の素材としても重宝される『求肥』についてお話ししたいと思います。
『求肥』は『牛皮』だった!製法と由来
『求肥』は練り菓子の一種で、白玉粉に砂糖や水飴を加えて練り合わせたものをいいます。
元々、中国で祭祀に使われていた『牛碑』が日本に伝来し、寛政年間頃(1624年~1644年)から広く知られるようになりました。伝来当初は、玄米に黒砂糖を加えて練ったものだったので、出来上がりは今と違い浅黒い餅状の御菓子でした。その形状や柔らかさが牛の皮をなめしたものに似ていることから、『牛皮』と呼ばれるようになりました。しかし、仏教思想の日本では肉食を忌み嫌う風習があったため、『求肥』と言い表すようになったのです。
求肥の製法
- 白玉粉に水を加え、ダマにならないようによく混ぜ合わせる。
- 1の白玉を鍋にかけ、滑らかになるまでしっかりと練る。
- 2の白玉を鍋に入れ、弱火で砂糖や水飴を少しずつ加えながら混ぜ合わせる。
- 餅が滑らかになるまで練る。
- バットに片栗粉などの打ち粉を引き、その上に4を乗せ粗熱をとる。
求肥の柔らかさの秘訣は、砂糖や水飴の保水力によるもの。とぅるとぅるの食感を、いつまでも楽しめる製法です。
季節の花を表現する求肥
左『花籠』《花桔梗》 | 右『桔梗』《和の菓さんのう》 |
蓬入りの求肥餅に白・ピンク・薄紫のきんとんを乗せ、『花籠』いっぱいに春の草花を摘んださまを表現した一品です。ふわふわの求肥は、春の柔らかな情景とぴったり合う素材ですね。
求肥を包んだ大納言鹿の子製に、練りきりで型どった2色の『桔梗』の花が華やかさを添えています。鹿の子のコロコロした粒感に、求肥がまろやかに絡みつき味わい深い一品となっています。
歴史的人物が愛した求肥『復刻若草』《彩雲堂》
『若草』は、求肥に薄緑の寒梅粉をまぶした松江の銘菓で、松江藩七代藩主・松平治郷が考案したとされる和菓子です。
日本三大和菓子処と名高い松江のなかでも、3本の指に入る美味しさと評判の和菓子。求肥と寒梅粉のシンプルな和菓子なので、日持ちがする(10~15日)のもありがたいですね。
食べた感想はこちら:おすすめ和菓子『復刻若草』《彩雲堂》
夏限定の求肥『調布』《俵屋吉富》
『調布』は岡山発祥の和菓子で、租庸調の“調”として納められていた布【調布】に由来しています。織り調えた布の形を模した長方形で、比較的お求め易い価格設定の夏季限定商品です。
東海地方では『若鮎』の名で親しまれている、硬めのカステラ生地+求肥を組み合わせた和菓子。餡ではなく求肥を巻こうと考案した人の発想力は素晴らしい!和菓子って、自由だなぁと思う品です。
《俵屋吉富》の『調布』は、5月1日~8月31日ごろの夏季に販売されている商品です。普段はシンプルな『調布』の焼き印ですが、祇園祭や大文字の時期は特別仕様の焼き印が押されます。【祇園鉾柄】の焼き印なんて、一度手にとってみたいものですねー。
アレンジ求肥『紫陽花』錦玉製《鈴懸》
求肥入りの白餡の周りを青紫・赤紫の錦玉で包み、艶やかな『紫陽花』を表現しました。求肥入り白餡のなめらかさは、プニュプニュした格子状の錦玉との相性もよいですね。梅雨はジメジメして嫌なのですが、こんな美しい和菓子に出会えるのなら、この季節もそんなに悪くないかなぁと思ってしまいます。
コメント