八十八夜と《禅語》喫茶去(きっさこ) ~お茶でも一服いかがですか

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

本日5月1日は、八十八夜(はちじゅうはちや)。八十八夜とは雑節(ざっせつ)のひとつで、立春から数えて88日目のことをいい、稲の種まきや茶摘みの目安とされてきました。

雑節とは

五節句・二十四節気以外の、季節の移り変わりの目安となる日の総称のこと。《八十八夜》以外に、節分や彼岸、入梅なども雑節である。

夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘みじゃないか あかねだすきに菅の笠

《茶摘み》の歌も有名ですね。この日に摘んだ茶は上等なものとされています。子どもの頃は八十八夜の意味が分からなくて、夏というにはずいぶん気が早いもんだなぁと思っていました。

八十八夜の慣用句

「暑さ寒さも彼岸まで」のように、八十八夜にも気候を表す慣用句があります。急に気温が下がって遅霜が降り、農作物に被害を与えることを警戒した言葉として、「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の忘れ霜」という言い方をします。…ここ最近、朝晩少し肌寒いですが、昔の人は的を得た表現をしますね。この時期を過ぎると気候も安定して霜も降りなくなり、いよいよ夏の到来となります(立夏)。

《禅語》喫茶去(きっさこ)とは

『喫茶去』とは、「お茶でも一服いかがですか」の意を表す禅語です。たしかにお茶を飲むと心穏やかになりますが、禅語というにはごく普通の言葉に思えますよねー。

これは、貴賎貧富、利害得失、老若男女に関係なく、同じ心でお茶をもてなす悟りの境地を表した言葉なのです。

お茶汲みなどという悪しき慣習は廃れ、ペットボトルで手軽においしいお茶が飲める時代になりました。だからこそ、おいしいお茶を嗜む時間は大切なのかもしれません。

今は閉店してしまった日本茶専門店《ピーストチャ》。玉露の1杯目がまるで上質の出汁を飲んでいるかのようなまろやかさでした。最後にお茶の葉をポン酢につけて食べるのは、カルチャーショックでした。

おいしいお茶の温度の目安

  • 90〜100℃ 番茶、ほうじ茶、玄米茶、粉茶
  • 70〜80℃ 煎茶、抹茶、緑茶
  • 50〜70℃ 玉露、かぶせ茶

お湯の温度は容器を移すごとに、5℃〜10℃下がります。

5月1日記念の和菓子

《美濃忠》

2019年5月1日は、平成から令和に改元された日。新元号になった慶びを表現した和菓子も、あちこちで見られました。

金箔の飾りに紅白に色分けされた羊羹の『令和』は、清廉な風情に心惹かれて買い求めたもの。伊勢芋が練り込まれた羊羹なので、ふんわりと軽やかな味わいでした。

近所のスーパーの《口福堂》では、『平成』『令和』の焼き印入りどら焼きで改元のお祝い。

西尾の抹茶と茶の湯

茶の湯では、5月に摘んだ新茶を茶壺に詰め封印し、11月の《口切りの茶事》にて封切りし石臼で葉茶を挽いて茶をもてなします。程よい通気性がある茶壺で熟成させた葉茶を封切りしたときの芳しい香りは、この上ないごちそうといえるでしょう。“ずいずいずっころばし”で知られる手遊び歌は、宇治茶(茶壺)を徳川将軍に献上するための『お茶壺道中』の様子を歌ったものだそうですよ。(なかなか世相を表した怖い歌なのですが、ここでは割愛)

京都の宇治茶に次いで、抹茶の名産地なのが西尾の抹茶です。温暖な気候、矢作川がもたらす豊かな土壌と川霧に恵まれた西尾の抹茶は、薫り高くまろやかな味わいで美しい鶯色をしています。

口切りの茶事や《やきものワールド》などのイベントで、子どもと一緒に石臼挽き体験をしたことがあります。石臼挽きは、あまり速く回しすぎると熱で香りが飛んでしまうので、1秒間に一回くらい回すのがベストらしいですよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました