こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
毎年11月3日は、昭和美術館内にある南山寿荘(なんざんじゅそう)の特別公開日になっています。1階の茶室「捻駕籠(ねじかご)の席」をはじめとする2階建ての数寄屋建築はみどころ満載。
この日は名古屋お茶会スタンプラリーとのコラボもあり、2階の書院でお茶をいただくことも出来ました。
特に今年は初めての試みとして、館員スタッフによる「南山寿荘」の歴史をレクチャーしてもらえる企画つき。抹茶をいただきながら、歴史上の人物に思いを馳せる…何とも贅沢なひとときを過ごせました。
昭和美術館 入館料(別途「南山寿荘」入館料金500円)
- 一般 600円
- 大学・専門学校生 500円
- 65歳以上 550円
- 高校生以下 無料
愛知県指定文化財「南山寿荘」の由来
「南山寿荘」は、移築した先の土地の名「南山」と古来より中国の長寿を祝う言葉「南山之寿」にちなんだものと云われています。
昭和美術館の設立者である後藤幸三氏が昭和11年に譲り受け、堀川端から現在の地へ移築しました。そのため庭園は、堀川の景観を再現するかのような造りになっています。
建立者は、又日庵(ゆうじつあん)の茶名で名高い尾張藩家老・渡辺規綱氏。実弟に裏千家11代家元・玄々斎がおり、建物の其処此処に玄々斎が建立に深く関わったであろう痕跡がみられます。
例えば2階の欄間⏬開いた扇、閉じた扇が杉板に彫られたデザインになっています。
同じデザインのものが玄々斎好みとして、名古屋市中区にある神谷家柏蔭斎に現存しているそうですよ。扇の文様は表裏なく、どちらからでも格調高いデザインを楽しむことが出来ます。
⏫変わったデザインの引手と思ったら、「つぼつぼ」という裏千家の紋だと教えていただきました。「つぼつぼ」の響きも平仮名での表記も、何だか愛らしいですね。
⏫2階の書院の障子は正方形のつくり。下部だけ細くなっているところに面白味を感じます。
「捻駕籠の席」を模した2階の書院
1階の「捻駕籠の席」そのままに設えた2階の書院。窓から景色も美しく、秋風が気持ちよく通り抜けます。
「捻駕籠の席」は空間の狭い茶室。広く見せるための仕掛けがあちこちに凝らされています。「捻駕籠の席」は撮影禁止のため、同様の造りである2階の書院にてご説明いたしましょう。
空間マジックポイント
- その1「斜めに取り付けた天袋」 天袋を斜めに取り付けることによって、床の間の方へ自然と視線が集まるような効果をもたらす。
- その2「切れた床柱」 床の間に向かって左手前の柱が途中で切られている。柱で遮らない分、空間が広く感じられる。
本日のしつらえ
- 掛軸「円相」裏千家11代玄々斎筆
- 花入「伊賀花入」横井米禽作
掛軸の文字は「松風水声一椀中」。「松風」とは釜でお湯が沸いている“シュー”という微かな音のこと。湯の沸く音やお茶を点てるときの様々な水の声。そういったものが全て、今目の前にあるひとつの茶碗の中にみることが出来ますよ…と。清閑な心境で茶の湯を慈しむ良い言葉ですね。
茶席菓子は『長寿園』さんの『黒琥珀』
『黒琥珀』は、寒天の名産地・岐阜県山岡町の糸寒天を一晩水浸けし、黒砂糖を加えて炊き上げ天日干しで乾燥させた一品です。子どもはキラキラしている琥珀糖を見て
これ、なぁに?
と、同じように目を輝かせていました。なかなか市民茶会で琥珀糖が出てくることはないので、珍しかったのでしょうねー(※本来の茶席だと、薄茶席は干菓子、濃茶席は上生菓子になる習わし。市民茶会では気軽さもあって、上生菓子でおもてなしされる傾向があります)。
『黒琥珀』の独特な風味とシャリシャリ感が気に入ったようで、
シャリシャリ、シャリシャリ
と呟きながら、母に満面の笑みを向けておりました(笑)
《長寿園》
住所 | 〒466-0843 名古屋市昭和区菊園町1-16 □ 名古屋市営地下鉄桜通線「桜山」駅4番出口より徒歩7分 □ 市バス 金山より「妙見町行き」乗車、菊園町1丁目下車で徒歩1分 |
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電話 Fax | 052-841-1084 052-841-1086 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
休業日 | 毎月6,7,8がつく日 夏季8月1日~31日 年末年始12月26日~1月8日 |
昭和美術館へのアクセス
住所 | 〒 466-0837 愛知県名古屋市昭和区汐見町4-1 □ 名古屋市営地下鉄鶴舞線「いりなか」駅より徒歩10分 |
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電話 | 052-832-5851 |
開館時間 | 10:00~16:30(入館受付は16時まで) |
休館日 | 祝日をのぞく月曜日・火曜日 |
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