こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
今回ご紹介する和菓子は『御題菓』です。お正月の宮中行事「歌会始」にまつわる和菓子になります。
2022年の「歌会始」は1月18日。入選者の最年長は富山県南砺(なんと)市の西村忠さん85歳、最年少は新潟県加茂市の東京学館新潟高校1年生、難波來士(らいと)さん15歳です。藤井聡太くんといい、若い世代が頑張っているのをみると嬉しくなっちゃいますね。また、ご年輩の方々が活躍されているのをみると、身が引き締まる気持ちになります。
『御題菓』と「歌会始」
毎年1月に開かれる、天皇が指定した御題に合わせた和歌を詠み披露する官中行事「歌会始(うたかいはじめ)」。その歌のテーマをもとにして作られる創作和菓子を『御題菓(おだいか)』という。 |
「歌会始」の終わりに翌年の御題が発表されます。和菓子職人たちは、そのテーマに沿った御菓子を約一年かけて作り上げるのです。
こちらは平成31年の御題「光」をテーマとした《両口屋是清》さんの御題菓『彩雲』です。御題からイマジネーションを受けて、神々しい光の遊びから生まれる「彩雲」を表現しました。村雨餡で描かれる風光明媚な棹菓子にうっとり。《両口屋是清》さんの御題菓はいつも素晴らしく、切り分けるのを躊躇するほどです。
「歌会始」御題一覧&令和3年の御題菓
御題 | 御題 | ||
平成24年 | 【岸】 | 平成29年 | 【野】 |
平成25年 | 【立】 | 平成30年 | 【語】 |
平成26年 | 【静】 | 平成31年 | 【光】 |
平成27年 | 【本】 | 令和2年 | 【望】 |
平成28年 | 【人】 | 令和3年 | 【実】 |
テーマが同じでも、和菓子屋さんごとに御題の解釈、菓銘、製法が違うもの。興趣がつきません。
令和3年「実」に対しては、どんな御題菓が出来上がったか見比べてみましょう。
《鈴懸》の御題菓『生る(なる)』
▪︎販売価格:1個 400円
▪︎販売期間:2020年12月25日~2021年1月3日
▪︎賞味期限:製造日より3日間
▪︎特定原材料等:小麦
「新たに始まる一年、あせらず、じっくりと“日々“という樹に自分らしい形が生りますように」という願いをこめて作られた一品。果実の実りと日々の充実をかけわあせ、美しい3色の練りきり製で表現しました。
《両口屋是清》の御題菓『里の神楽』
▪︎販売価格:半棹(200g) 972円
▪︎販売期間:11月下旬~2021年1月上旬
▪︎賞味期限:製造日より1ヶ月程度
▪︎特定原材料等:小麦、やまいも
「里々の新米出来て神楽かな」
村雨餡と栗入り小豆つぶ餡の二層で、里の人々の豊穣への悦びと大地への感謝を表現しました。風に揺れる黄金の稲穂を表した村雨餡、その柔らかな色合いに癒されます。
では、令和4年の御題「窓」にまつわる和菓子をみてみましょう。
《鈴懸》の御題菓『窓』―景色と風景
御題菓『窓』《鈴懸》
▪︎販売:1個 400円(税込)
▪︎販売期間:2021年12月25日~2022年1月3日
▪︎賞味期限:製造日より3日間
▪︎特定原材料等:やまいも
▪︎栄養成分表示:1個あたり102kcal
薯蕷饅頭からうっすらと透けてみえる紅と黄が美しい一品です。真っ白な薯蕷生地は、内と外の世界を隔てる窓の見立て。紅色の梅と柚子羊羹は、窓から見える景色、やわらかな光や温もりを表現しました。
中の小豆こし餡も上品な甘さで、シンプルな薯蕷生地とさらりと馴染んでいます。
縁起のよい鶴の銘々皿に合わせてみました。ちょうど鶴の赤と紅色の梅がシンクロしていい感じですね!手拭いは「えんぎもん」と書かれたふくろうモチーフのもの。お正月らしい組み合わせになりました。
《両口屋是清》の御題菓『窓の梅』村雨餡&羊羹製
御題菓『窓の梅』《両口屋是清》
▪︎販売価格:半棹13.0×6.0×4.2cm(200g)972円(税込)
▪︎販売期間11月中旬~1月上旬
▪︎賞味期限:製造日より30日間
▪︎特定原材料等:小麦、やまいも
▪︎栄養成分表示:100gあたり291kcal
「我が園に梅の花散るひさかたの 天より雪の流れ来るかも」 大伴旅人
《両口屋是清》さんの御題菓は毎回、テーマに沿った歌がついているのも素敵なところなんですよね。パッケージデザインも今回は凝ったつくり。全体を覆ったものではなく、障子窓から眺めた情景をイメージしたものになっています。
窓越しに愛でる古都の雅を意匠とした一品です。柔らかな光に包まれてほころぶ梅の花を、幾層にも色分けされた村雨餡で表現しました。
ほろほろとした優しい口どけに、いつもより丁寧に点てた抹茶。やさしい時間が辺りを包み込みます。
《大口屋》の御題菓『春の窓辺』
御題菓『春の窓辺』《大口屋》
▪︎販売価格:1個 389円(税込)
▪︎販売期間:2021年12月30日~2022年1月4日
▪︎賞味期限:製造日より2日間
ういろう製のやわらかな風合いに、春の予感を感じさせる薄紅と菜の花色の餡。ういろうを窓にかかったカーテンに見立て、暖かな光や春の訪れを色付けした白こし餡で表しました。
くたっと折り曲げたデザインが、春の予感にカーテンをそっと開ける…そんな心弾ませている風景が浮かびます。
今回ご紹介した和菓子店舗
《鈴懸》本店
住 所 | 〒 812-0026 福岡市博多区上川端町12番20号ふくぎん博多ビル1階 (google map) 福岡市地下鉄「中洲川端駅」91m ・福岡市地下鉄「中洲川端駅」5番出口からすぐ |
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電 話 | 092-291-0050 |
営業時間 | 【菓舗】9:00~19:00/【茶舗】11:00~19:00(L.O.食事18:00、甘味18:30) |
定休日 | 1月1日・2日 |
《鈴懸》JR名古屋高島屋店 ※2023年10月31日(火)をもって閉店となりました
住 所 | 〒450-6090 名古屋市中村区名駅1-1-4 ジェイアール名古屋タカシマヤ地下1階 和菓子売り場 (google map) |
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電 話 | 052-485-4328 |
営業時間 | 10:00~20:00 |
定休日 | ※店休日・営業時間は百貨店の営業に準じます。 |
《両口屋是清》八事店
住所 | 〒468-0061 愛知県名古屋市天白区八事天道302 GoogleMap ・地下鉄名城線・鶴舞線「八事」2番出口徒歩3分 ・駐車場:6台有り |
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電話 | 052-834-6161 |
営業時間 | 販売:9:00 〜 18:00 喫茶:11:00~17:30(L.O.17:00) ※コロナの影響により営業時間が変更になる場合があります。詳しくは公式サイトまで |
休業日 | 毎週水曜日 |
《大口屋》本店
住所 | 〒 483-8235 愛知県江南市布袋町中67 □ 名鉄犬山線布袋駅 北西500m |
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電話 | 0587-56-3067 |
営業時間 | 8:00 〜 18:00 ※できたての柔らかさをお求めでしたら、本店へお越しくださいませ |
休業日 | 1月1日 |
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