襲色目を楽しむ和菓子『梅かさね』《京菓子司 松屋長春》

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

みなさんは「襲(かさね)色目」という言葉をご存知でしょうか?平安王朝時代の人々は、着物(袷)の表裏の色合わせ等で季節の風情を表現していました。

自然の色合いの調和を衣装に取り入れることによって、四季の移り変わりやその風情を愛で、自然の偉大さに敬意をはらっていたんですね。例えば「梅」だけでも幾つものの「襲色目」があります。

名称表裏のかさね時季
表地:白 裏地:蘇芳五節日から二月まで 
紅梅匂表地:紅梅 裏地:薄紅梅冬より春
梅重表地:濃紅 裏地:紅梅十一月より二月まで
裏梅表地:紅梅 裏地:紅十一月より二月まで
雪の下表地:白 裏地:紅梅冬より春

和の伝統色の名称を繙くと古来日本人の色彩感覚の豊かさに感嘆いたします。私がよく和菓子の色合いを和の伝統色で表すのは、伝統色の(音の)響きや色彩が和菓子の世界観と重なるものがあるからでしょう。萌黄色、若芽色、砥粉色(とのこいろ)、鶯茶色、小町鼠(こまちねず)、薄香(うすこう)、二藍(ふたあい)…etc.

今回は重なり合った色合いを楽しむ美しい和菓子をご紹介したいと思います。

『梅かさね』こなし製 備中白小豆こし餡

『梅かさね』《京菓子司 松屋長春》
▪︎販売価格:1個410円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:小麦粉

梅重(色)と白練(しろねり)を重ね合わせ、柳色に染めた備中白小豆こし餡をくるりと巻いた一品です。仕上げに、重なり合った紅梅のような明るい紅赤の梅重に金箔をあしらって、華やかな春の訪れを演出しました。

こちらの『梅かさね』、2月開催された《国府宮神社》月釜の茶席菓子としてふるまわれたもの。凛と咲く梅を表現するためエッジを効かせてあるのがミソだとか。なかなか月釜に参加できませんが、こうして同じ御菓子をいただけるのは嬉しいものですね。

色の重なりが見やすいように半分に割ってみました。順不同ですが白練·梅重·柳色の組み合わせは、五衣唐衣裳の襲色目「雪の下」かのような配色になっています。「雪の下」は、降り積もった雪の下にも春待つ紅梅と新芽を思わせる生命力溢れる襲色目。

雪の下表:白・白・紅梅・淡紅梅・より淡紅梅・青(緑)
裏:白・白・蘇芳・淡蘇芳・より淡い蘇芳

むちっとしたこなし製にあっさりと上品な備中白小豆餡は、凍てつく寒さにも負けず清雅な佇まいの梅に相応しい味わいです。

『梅たより』かるかん製 丹波大納言小豆つぶ餡

『梅たより』《京菓子司 松屋長春》
▪︎販売価格:1個346円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:やまいも

ふんわりとやまいもが香るかるかん製に梅の焼き印を入れ『梅たより』と銘うちました。ふっくらと咲きほころんだ梅の横に梅重(色)を配することで、明るい春の到来を思わせます。梅の花の咲くのを見て春を知ることを「梅暦」といいますが、梅が春の便りを運んできた!と喜びが溢れているような一品ですね。

中はたっぷりとした丹波大納言小豆のつぶ餡。ふんわりとしたかるかんの風味を活かすように柔らかに炊いてあります。

「丹波大納言小豆」の特徴
□ 晩成種のため生育期間が長く、栽培に手間暇かかる。
□ 国内小豆流通量に占める割合は約1%と希少種。
□ 色鮮やかで大粒、甘みが強い。
□ 風味豊かで、皮が薄めながらも煮崩れしにくい。

『うぐいす餅』羽二重餅製 丹波大納言小豆つぶ餡

『うぐいす餅』《京菓子司 松屋長春》
▪︎販売価格:1個302円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:卵、大豆

春告草(梅の別名)をご紹介したあとは春告鳥、鶯にまつわる定番の和菓子『うぐいす餅』が食べたくなっちゃいますね。

【うぐいす餡の由来】
天正年間(1580年代)、郡山城の城主であった豊臣秀長が兄の豊臣秀吉を招いた茶会を開く際に「珍菓を造れ」と御用菓子司の菊屋治兵衛に命じました。そのとき献上された餅を秀吉は大変気に入り「鶯餅と名付けよ」と下賜(かし)したと云われています。

たっぷりのきな粉がかかった羽二重餅はフワッと軽やかな仕上がり。蓬が練り込まれているので春の息吹きを感じさせる爽やかな香りがします。

今回ご紹介した和菓子店舗

《京菓子司 松屋長春》

住 所〒492-8212
愛知県稲沢市小沢3-13-21
名鉄国府宮駅ロータリー前から約850m   
・車で西へ約3分
・国府宮駅西口より徒歩で約13分
電話番号
メール
0587-32-0253
wagashi@matsuya-choushun.jp
営業時間 8:00~18:00
休業日月曜日(※祝日の場合は翌日に振替)。
火曜日は不定休となっております。

国府宮はだか祭りは2月22日。国府宮神社の御神宝である大鳴鈴を意匠とした『なおい最中』も購入しましたよ。

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