【紫式部】をモチーフにした和菓子セットを召し上がれ《老松》

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こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

今年は春に京都旅行した影響もあり、恒例のJR名古屋高島屋【大京都展】もより楽しめました。日帰り旅行ですと上生菓子を持ってウロウロ観光出来ないので【大京都展】で購入出来るのはありがたいことです。

毎回目に留まるのは、美しい上生菓子や見事な代表銘菓『御所車』、瑞々しい『夏柑糖』を取り扱う《老松》さん。明治41年(1908)年創業の《有職菓子御調進所 老松》さんは、京都最古の花街である上七軒に店を構える和菓子屋さんです。

「有職菓子御調進所」とは
◇平安時代の宮廷祭祀官の流れを汲む家系であること
◇古来より朝廷に伝わる有職故実にもとづく儀式・典礼に用いる菓子、茶道に用いる菓子を手がけてきたこと
以上の2点により、屋号を「有職菓子御調進所」としている

今回の【大京都展】では大河ドラマ「光る君へ」に肖り、紫式部をモチーフとした和菓子を販売されていました。いったいどんな味わいなのでしょう。どうぞお楽しみください。

【紫式部】モチーフにした上生菓子セット

『紫式部モチーフ上生菓子セット』《有職菓子御調進所 老松》
▪︎販売価格:1箱4個入り 2,160円(税込)
▪︎販売期間:2024年5月7日(火)~5月13日(月) JR名古屋高島屋【大京都展】限定商品
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:小麦粉
▪︎栄養成分表示:1箱あたり 471kcal

淡い撫子色掛け紙は紫式部と和歌、源氏香を彷彿させる図案が描かれた代物。組香のひとつ「源氏香」は、着物や帯などでも人気のデザイン。先程「源氏香を彷彿…」と書いたのは「源氏香図案」には同じものがないように見受けられるからです。それでも「源氏香」を彷彿させる掛け紙の仕様はワクワクさせてくれますね。和菓子への期待も高まります。

「源氏香」とは
5種類の香を5包ずつ作った25包を混ぜ合わせ、5包を取り出し焚いて薫ずる。5包の香りを聞いた客は5本の縦線を引き、同じ香りと思うものの線の上部を横線でつなぐ。
この線の組み合わせによって生じる52通りの香図に源氏物語の五十四帖のうち五十二帖の巻名(「桐壺」と「夢の浮橋」の二つは除く)を採用したものが源氏香図。

風雅な掛け紙を外すと、中から四種類の上生菓子が出てきました。

原材料名砂糖(国内製造)、手芒豆、白小豆、小豆、つくね芋(やまいも)、道明寺、餅粉、小麦粉、上新粉、水飴、麦芽糖、上用粉、氷餅、デンプン/ソルビトール、着色料(金箔、赤3号、赤102号、青1号、黄4号、黄5号)

(左上から時計回りに)こなし製、薯蕷きんとん製、ういろう製、道明寺製と色んな製法が楽しめるセットになっています。では、ひとつずつ見ていきましょう。

まずはこなし製の『石山詣』

古来より多くの文学者が参詣してきた滋賀県大津市にある「石山寺」。伽藍山の木々に囲まれた風光明媚なさまを美しく曲線を描いたこなしで表現しました。柳色から紅唐(べにとう)へと移り変わるあたりの色の混じり具合が、なんて雅やかなのでしょう。自然の叡知を感じます。

秋を連想させる色づかいだと思われた方もいらっしゃるでしょう。これは【源氏物語】の起筆に関係しているからなのです。

紫式部は「まだ読んだことのない珍しい物語が読みたい」という要望を受け、石山寺に参籠していました。その際、大津·石山寺から琵琶湖に映る中秋の名月を見て「今宵は十五夜なりけりと思し出でて、殿上の御遊恋ひしく…(第十二帖【須磨】)」と書き始めたのが【源氏物語】の始まりだと云われています。

和菓子を通じて、千年の時を経ても色褪せない物語の妙味を堪能できる一品です。

お次は薯蕷きんとん製の『大内』

『大内(おおうち)』とは何のことでしょう?お訊ねしたところ「内裏=皇居、宮中」のことだそう。薯蕷きんとんが染め分けされているのは平安宮内裏の紫宸殿の前庭に植えられている“左近の桜 • 右近の橘”を表しているからです。

御所染(ごしょぞめ)と若葉色のコントラストは目に優しく穏やかな気持ちになりますね。

中はしっとりとした小豆こし餡。やわらかな薯蕷きんとんでしたので、盛りつけるのもひと苦労でした。その分、口あたりもよく薯蕷特有のほのかな甘みが味わえるのがいいですね。

続いて道明寺製の『葵餅』

【源氏物語】の第九帖「葵」をモチーフとした一品です。道明寺を若芽色に染め、上質な白小豆のこし餡を包み込みました。プチプチとした道明寺の食感となめらかな白小豆がよく合います。甘さも絶妙ですね。

第九帖【葵】は「賀茂祭」での正室·葵の上と六条御息所の車争いにはじまり、六条御息所の生霊や葵の上の出産と急逝、紫上との新枕と物語が大きく変わるところ…古典で習った覚えのある方も多いのではないでしょうか。

最後にご紹介するのはういろう製の『藤式部』

『藤式部(とうのしきぶ)』とは紫式部の別名。紫式部という呼び名は宮仕えする際の女房名で本名ではありません。紫式部ははじめ藤式部と呼ばれていましたが【源氏物語】の作者だというので紫式部と呼び変えられるようになったのです。

コラム~本名を名乗らないのは
位の高い人が本名を使わないのは人の名前には魂が宿っており、実名を悪霊に知られると禍(わざわい)を招くという考えがあったことから。女三宮、六条京極に住まいを構えている=六条御息所…etc.
「式部」というのは父親が式部卿(しきぶのきょう)だったことに由来しています。

藤色に染めたういろうに「藤」の焼き印と金箔をあしらい、緑餡を包み込んだ一品です。緑餡というと一般的には青えんどう豆を使ったうぐいす餡をイメージするのですが、原材料名には表記がないので白小豆を柳色に染めたものと考えたほうが良さそう…何れにせよ、上品な甘さのこし餡とモチッとしたういろうの組み合わせは絶品でごさいましたよ。

今回ご紹介した和菓子店舗

《有職菓子御調進所 老松》北野店

住  所〒602-8395 
京都市上京区社家長屋町675-2 
Google Mapsで地図を見る
□ 嵐電(京福)北野線「北野白梅町」駅より徒歩11分
□ 京都市バス「北野天満宮前」より徒歩6分
□ 京都市バス「上七軒」より徒歩4分
電 話
FAX
075-463-3050
075-463-3051
営業時間9:00〜17:00
定休日不定休

作りたての本わらび餅や、お抹茶などと生菓子もお召し上がりなりたい方は《嵐山店》へお出かけください。

《有職菓子御調進所 老松》嵐山店 茶房 玄以庵

住  所〒616-8385 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町20
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□ 嵐電(京福)嵐山本線「嵐山」駅より徒歩3分
□ JR山陰本線「嵯峨嵐山」駅より徒歩7分
□ 阪急嵐山線「嵐山」駅より徒歩14分
電 話
FAX
075-881-9033
075-872-2889
営業時間9:00〜17:00
◇茶房:9:30~17:00(L.O.16:30)
定休日年中無休

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