こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
5月21日より二十四節気では【立夏】から【小満】へと移り変わりました。
【小満】の七十二候
- 初候:「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」
- 次候:「紅花栄(べにはなさく)」
- 末候:「麦秋至(むぎのときいたる)」
【小満】とは、あらゆる生命が天地に満ち始めることを意味します。日ごとに上昇する気温に合わせ、万物の成長が著しい季節の到来です。【小満】の末候「麦秋至」とあるように、麦が成熟し収穫期を迎えるのがこの頃。秋に蒔いた種に黄金色の麦の穂がつき、まさに「麦の秋」といった風情になります。無事実ったことに小さな満足を得られる時期ですね。
江戸時代、太玄斎によって書かれた「こよみ便覧」に依れば ※こよみ(暦)便覧は、江戸時代に出版された暦の解説書
今回は、身も心も軽やかになっていく初夏の季節におすすめの和菓子をご紹介したいと思います。
『花あやめ』羊羹製&こなし製 白小豆こし餡
『花あやめ』《両口屋是清》
- 販売価格:1個465円(税込)
- 販売期間:5月15日~5月23日
- 賞味期限:製造日より2日間
- 原材料名:砂糖(国内製造)、手芒豆、白小豆、福白金時豆、還元水飴、小麦粉、餅粉、寒天、澱粉/増粘多糖類、着色料
- 特定原材料等:小麦粉
- 栄養成分表示:1個あたり 147kcal
鮮緑(色)の羊羹製と若紫(色)のこなしで花弁と葉を意匠して、白小豆こし餡を包んだ一品です。日本各地の山地や草原に自生し、菖蒲とともに邪気を払い生命力の象徴ともされる『花あやめ』。同時期に花咲く杜若と見分けがつきにくい様相をしています(ちなみに杜若は愛知県の県花なんですよ)。
杜若の特徴
- 場所 湿地に生息
- 花 花びらの中央が真っ白な剣型の模様
- 葉 幅が広くて柔らかい
花あやめの特徴
- 場所 乾燥した陸地に生息
- 花 花びらの中央が網目模様
- 葉 幅が細く固い葉
「かきつばた」といえば、在原業平と想定される人物が東国へ流離する「東下り」で沢のほとりの美しいかきつばたを見て己の心境を詠んだ句が有名ですよね。ということで「花あやめ」でも一句、ご紹介したいと思います。
これは、松尾芭蕉が大坂歌舞伎の若衆役者・吉岡求馬の死を悼んで詠んだ句です。求馬の歌舞伎を見た翌日に急死の一報を聞き「美しい花あやめのような役者求馬が一夜にして急死するなんて」と、花あやめが一夜にして枯れたことを急逝した求馬に重ね人生の儚さを詠っています。
⏫中は黄蘗(色)に染められた白小豆こし餡。上品な甘さに仕上がっています。
今回ご紹介した和菓子店舗
《両口屋是清》八事店
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