こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
2月に入ると食べたくなる定番の和菓子『椿餅』。和菓子も時代によって少しずつ移り変わっていきました。今では文献のなかでしかみられない廃れてしまった和菓子も…そんななかでも現代まで受け継がれてきた和菓子があります。今回ご紹介する『椿餅』は、文学史にも名を馳せる和菓子です。
『椿餅』は文学史に残る和菓子
「椿餅(つばいもちひ、つばきもち)」は平安時代に軽食代わりとして食べられた餅菓子です。【源氏物語】第34帖「若菜 上」に、源氏の六条院での蹴鞠の会の後、若い公達らに出された甘いもののひとつとして登場しています。
当時は甘い小豆餡はなく、道明寺餅に甘葛(あまづら:つたの汁を煮詰めたもの)をかけたものだったと云われています。
現代では古に倣った「道明寺製」のものと「羽二重餅製」のものとがあり、和菓子屋さんによって御菓子の製法が異なるのが興味深いところ。どちらもみずみずしい椿の葉が目印です。椿の葉が使われているのは、持ち運びや食べるときに手を汚さない利便性と、常緑で「長寿 永年」を象徴として重宝されたためと云われています。
和菓子屋さんでは主に2月の季節菓子として販売されますが、長いところで11月~3月くらいまでの取り扱いとなっています。色々な和菓子屋さんの『椿餅』を食べ比べてみるのも面白そうですね。
今回は《芳光》さんと《両口屋是清》さんの『椿餅』の違いをみてみましょう。
《御菓子所 芳光》の羽二重餅製『椿餅』
『椿餅』《芳光》 ▪︎販売価格:1個310円(税込) ▪︎賞味期限:製造日より2日間 ▪︎羽二重餅製つぶ餡(卵白入り) ▪︎特定原材料等:卵
真っ白な餅に、みずみずしい織部(色)の葉のコントラストが美しい『椿餅』。
ふわっふわの口溶けのよい羽二重餅でつぶ餡を包んだ一品です。柔らかな口あたりの秘訣は卵白入りだからでしょうか。とろんとかかった寒天もプルプルしてて、喉ごしのよさに一役かっています。
初代《芳光》島岡孝光さんは、京都の老舗和菓子店《塩芳軒》で10年間修業した後、名古屋の名店《川口屋》にて勤務。《川口屋》さんの『椿餅』の羽二重餅製は《芳光》に引き継がれていますね。
《両口屋是清》の道明寺製『椿餅』
『椿餅』《両口屋是清》 ▪︎販売価格:1個357円(税込) ▪︎賞味期限:製造日より2日間 ▪︎黒糖入り道明寺餅製こし餡 ▪︎特定原材料等:なし ▪︎栄養成分表示:1個あたり 101kcal
名古屋の名店は比較的「羽二重餅製」の椿餅が多い印象です(前出以外にも《花桔梗》や《美濃忠》も羽二重餅製)。
道明寺餅製の『椿餅』だと、より平安時代に思いを馳せることが出来て素敵ではないでしょうか。《両口屋是清》さんの『椿餅』はそんな思いに応えてくれる「道明寺餅製」です。しかも、茶色!甘葛(あまづら)をかけた古の『つばいもち』もこんな感じだったのかしら?なんて楽しめてしまう一品ですね。
今回ご紹介した和菓子店舗
《御菓子所 芳光》
住所 | 〒461-0038 愛知県名古屋市東区新出来1-9-1 □市バス基幹2系統、「山口町」又は「徳川園新出来」より徒歩5分 □名鉄瀬戸線「森下」駅·JR「大曽根」駅より 徒歩15分 |
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電話 | 052-931-4432 |
営業時間 | 9:00~17:30 |
休業日 | 日曜日+第3月曜日 ※祝日と第3月曜日が重なる日も定休日とさせていただきます。 |
《両口屋是清》八事店
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