こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
7月23日より二十四節気では【大暑(7月23日〜8月7日頃)】に入りました。江戸時代、太玄斎によって書かれた「こよみ便覧」に依れば ※こよみ(暦)便覧は、江戸時代に出版された暦の解説書
快晴が続き一年で最も暑さが厳しいころ、まさに盛夏ですね。【大暑】の数日前から「夏の土用」が始まります。気温の変化に体が疲れてしまう時期なので養生を心がけたいもの。「夏の土用丑の日」にうなぎを食べると良いとされるように、「う」のつく食べ物もしくは黒いものを食べるとよいとされています。※2023年、夏の土用の丑の日は、7月30日(土) 『土用餅』を食べるのは小豆の赤が邪気を払うと考えられていたためなんですよ。
また、五行・五味の考え方から土用の季節は黄色く甘い食べ物を食べるとよいとされます。もちろん、それ以外の食品とバランスよく食べることが大事
五味 | 五行 | 季節 | 五臓 | 食材(五臓の病に補うと良いとされる) |
甘味 | 土 | 土用 | 脾 | カボチャ、山芋、とうもろこし、鶏卵、水飴、小豆、葛根、小麦、粟、砂糖…etc. |
『土用餅』はもったりするなぁという方は、さっぱりとした和菓子で五行五味を取り入れ「土用」を乗りきろうではありませんか。
『芙蓉』本葛製 白餡
『芙蓉』《和の菓さんのう》
▪︎賞味期限:2日間
▪︎原材料名:砂糖、葛、白餡、小豆、大納言/食用色素
▪︎特定原材料等:なし
気品漂う『芙蓉』をつるりとした食感の本葛で表現した一品です。淡紅色に彩られた本葛の透け感が何とも艶やか。花芯が色濃く映るのでどうなっているのだろうと半分に割ってみると…
白餡の上に紅赤(色)の餡が差し込まれていました。ほんの少し細工を凝らすことで意匠に変化をもたらし風情を生んでいます。
新婚で鏡子夫人と太宰府天満宮を訪れた夏目漱石も芙蓉の美しさにふれ句を残しています。
『爽夏』ミント風味錦玉製 パイナップル餡
『爽夏』《和の菓さんのう》
▪︎販売価格:1個500円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎原材料名:砂糖、白餡、パイナップル、水飴、レモン果汁、寒天/食用色素
▪︎特定原材料等:なし
鮮やかなレモンイエローの果肉入りパイナップル餡で作られた『爽夏』。キューブ状の錦玉が光に反射して銘々皿にも映し出されています。幻想的な情景を描き出せるのが錦玉羹の魅力のひとつ。甘くジューシーなパイナップル餡がミント風味の錦玉羹で爽やかな後味に仕上がっています。
パイナップルは食物繊維・ビタミンB1・ビタミンC・ミネラル等が豊富な食材なので、積極的に盛夏に取り入れ疲労回復を図りたいものですね。※厳密にいえば「五行五味」でパイナップルは別の季節に振り分けられることが多いですが、今回は「甘」「黄色」に着目して取り上げてみました。
『水面』柚子錦玉製 大納言&白小豆
『水面(みなも)』《和の菓さんのう》
賞味期限:2日間
原材料名:砂糖、水飴、白小豆、大納言小豆、寒天、柚子/食用色素
特定原材料等:なし
黄浅緑(色)に彩られた錦玉羹で水面に映り込む青々と生い茂る夏の木々を表現しました。錦玉羹のなかを泳ぐ大納言小豆や白小豆は、魚や小石などの見立てなのでしょうか。何とも涼しげな意匠ですね。
柚須の香が爽やかでプリッとした弾力の錦玉羹の味わいを豊かにしてくれています。中の大納言小豆や白小豆も口当たりがよく、上品な甘さに仕上がっています。
まるごとグレープフルーツゼリー『黄果宝珠』
『黄果宝珠(おうかほうじゅ)』《和の菓さんのう》
販売価格:1個750円(税込)
賞味期限:製造日より3日間
原材料名:グレープフルーツ、砂糖、洋酒/クエン酸、ゲル化剤
特定原材料等:なし
『黄果宝珠』という雅やかな菓銘に心惹かれて購入に至ったまるごとグレープフルーツゼリー。宝珠とは縁起の良いものを寄せ集めた「宝尽くし紋」の一つで、着物や懐紙などにも好んで使われている図柄です。たっぷりした果実の恵みを取り込んで除災招福し、夏バテもすっ飛ばしたいものですね。
《老松》の『夏柑糖』と同じように1/4ずつにカットしていただくことにしました。
ふんわりと香るグレープフルーツにリフレッシュされ、子どもは
『夏柑糖』より苦くない。こっちのほうが食べやすくて好き💓
と言っていましたよ。
今月の季節の上生菓子セット内容
左上から時計回りに
▪︎『朝顔』ういろう製 白餡
▪︎『宵花火』練りきり製 小豆こし餡
▪︎『清流鮎』羽二重餅製 小豆つぶ餡
▪︎『芙蓉』本葛製 白餡
▪︎『水面』柚子錦玉製 大納言&白小豆
▪︎『爽夏』ミント風味錦玉製 パイナップル餡
1箱6個入り 3,200円(税込)
夏の季節の上生菓子セットで楽しみなのは《和の菓さんのう》さんの代表銘菓ともいうべく『宵花火』が入っていること。テレビの和菓子特集で取り上げられる時にきまって登場するのでご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
『宵花火』のように包み暈し&窪みの技法で「花火」を表す御菓子を他の和菓子職人さんのものでも存じ上げていますが、色彩のはんなり感が《和の菓さんのう》さんの『宵花火』が格段に好みだったりします。以前、放送で紹介されていた『宵花火』の作り方を改めてここに記しておきますね。
- 6色の練りきり餡を組み合わせ、色が混じらないようにして掌で均等にひとつの丸い形にする。
- 6色の餡玉を白餡で半包みにする。
- 均等に潰して表面を白餡、裏面を6色とする。
- (6色側に)餡を入れて包餡。
- 包みぼかしの技法で形を整える。
- 三角形の棒で、円の中心から32本の線を均等に引く。
- 押し棒で線と線の間に、互い違いになるように窪みを入れていく。
- 最後に金箔をかけて完成。
今回ご紹介した和菓子職人
フリーランス和菓子職人《和の菓さんのう》
製造者 | フリーランス和菓子職人 三納寛之 |
住 所 | 岐阜県瑞穂市野白新田337-1-102 |
電 話 | 090-3834-3444 |
定 期販売日・場所 | 名古屋星ヶ丘テラス The Kitchen2階 毎月第2火曜日・第3日曜日 岐阜県本巣市atelierフェリス 毎月第4水曜日 ※インスタグラムで予約可 |
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