こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
日本100名城巡りを趣味としている夫と同行しているなかで何度も訪れたいと思っている城のひとつに「和歌山城」があります。それほど混み合わず、ゆったりと過ごせるのが良いところ。紀州徳川家初代藩主の命で造園されたという和歌山城·西ノ丸庭園は「紅葉渓庭園」と呼ばれ親しまれています。名の通り紅葉の時期はこの上なしの眺め…あまりの素晴らしさに長文で記録を綴ったこともあるほどです。
和歌山城は何といっても石垣!豊臣・桑山期の野面積み、浅野・徳川期の打ち込み接ぎ、徳川期の切り込み接ぎと、時代によって石垣の積み方が自然そのもの~加工へと変化していく様子が見られるのが興味深い。浅野期は刻印石が多いので、それを見てるうちに置いてけぼりを食う母なのだ。 天守閣~二の門櫓(日本三大連立式平山城)の中には、紀州徳川家の貴重な資料や藩主の健康管理を務めた華岡青州、和歌山の偉人等の紹介があって、前回はちびっこ連れで駆け足だった所がじっくり見られたのが良かった。 |
それにしても水面に映る逆さ紅葉は見事だった。[鳶魚閣(えんぎょかく)]も御橋廊下の風情も、息をのむほど美しい。季節の巡りに身をおくのはいいもんだなぁ。 紅葉溪庭園内の茶室紅松庵で抹茶を一服いただく。御菓子の菓銘は『雪餅』。紅葉(私)、蔦(子ども)、葵紋(夫)と別々の茶碗でもてなされた。掛軸の【冬嶺孤松秀(とうれいこしょうをひいず)】も素晴らしく、今日この言葉に巡り合えたことを嬉しく思う。 ※「冬の嶺の上で、他の草木が枯れてしまったのに松が独り緑を誇っている」ー煩悩はもちろんのこと悟りすらも綺麗さっぱり払い落した何物にも惑わされない凛とした姿を意味する。 |
今回は「紅葉渓公園」に肖って美しい和菓子をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみください。
『紅葉賀』きんとん製 小豆つぶ餡
『紅葉渓』《両口屋是清》
▪︎販売価格:1個389円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料名:やまいも、ごま
▪︎栄養成分表示:1個あたり 116kcal
黒胡麻入りのきんとんに紅葉色(もみじいろ)と深支子(こきくちなし)に染め分けた煉薯蕷きんとんをのせ、紅葉の下で宴を張り舞う風情の意匠としました。
そう、紅葉賀といえば【源氏物語】第7帖ー朱雀院50歳の祝典、藤壺の出産と立后である。若き美貌の源氏が舞う青海波の典雅さと裏腹に、托卵の罪深さとのコントラストが際立つストーリー。艶やかな紅葉とポツリポツリと混じる黒、『紅葉賀』がまるで物語を表すかのような彩りになっているのは創作の妙なのでしょうか。
原材料名 | 砂糖(国内製造)、白小豆、還元水飴、手芒豆、大納言小豆、やまいも、ごま、小豆、福白金時豆/着色料(黄色4号、赤102号) |
中はしっとりとした小豆つぶ餡。香ばしい黒胡麻との相性も抜群です。
『紅葉渓』薯蕷製 小豆こし餡(小玉薯蕷入り)
『紅葉賀』《両口屋是清》
▪︎販売価格:1個411円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料名:やまいも
▪︎栄養成分表示:1個あたり 160kcal
艶やかな紅葉と水面に映る[紅葉渓庭園]を小玉薯蕷入りの薯蕷饅頭で表現した、見事な意匠。毎年、小玉薯蕷の紅餡を中を割って見るのが好きで購入してしまいます。
子どもが小さい頃、小玉薯蕷を「鉄火巻きみた~い💖」と情緒も何もないことを言って笑わせてくれた思い出がある一品です。…もう、母も鉄火巻きだと刷り込みされてしまいました(笑)静かな山々の渓流に、紅葉がはらはら散り流れていくさまを写しとった、情趣あふれる意匠なんですけどね。
原材料名 | 砂糖(国内製造)、小豆、米粉、やまいも、還元水飴、手芒豆、白小豆、福白金時豆/着色料(黄色4号、赤102号、青1号) |
白の薯蕷に挟まれた黒と赤、色彩効果抜群で妙味がありますね。『紅葉渓』の白餡は、手亡豆・白小豆・福白金時豆の3種類の豆から作られています。
「福白金時豆」風味が豊かで、白餡にすると粘りの少ない仕上がりになる。白いんげん豆の一種。 |
「手亡豆」小粒な白いんげん豆のこと。いんげん豆は食物繊維が豊富な豆類の中でもトップクラス。 |
「白小豆」独特な風味とあっさりとした舌触りの希少性の高い豆。高級餡として使用される。 |
今回ご紹介した和菓子店舗
《両口屋是清》八事店
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