こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
各地で開花宣言が、ちらほらされるようになってきましたね。満開の桜は、人々の心を浮き立たせます。その艶やかさ、潔さ…
俳句の世界では『花』といえば、さくらを表します。それぐらい日本人の心に根ざした花なんですねー。さくらをモチーフにした和菓子もあちこちで見られる時期で、どれにしようかと迷ってしまいます。
今回は、フリーランス和菓子職人《和の菓さんのう》より、さくらをテーマにした和菓子をいくつかご紹介したいと思います。
『花便り』薯蕷製・桜葉餡
花便りとは、花の咲きぐあいを知らせる便りのことです。今は、LINEなどの連絡手段が発達し、手紙で近況を伝え合うことが減っているので想像しにくいですが
こちらではもう桜の花が咲きはじめましたよ
なんて、風流なやりとりをしていたんでしょうね、きっと。
ふんわりとした薯蕷が、柔らかな春の兆しを醸し出している一品です。焼き印のピンクと茶色は、桜の花と大地を表しているのでしょうか。中を割ってみると、小豆餡と桜葉餡の緑のツートンカラー。
おぉ~、素敵(一瞬、飲んでいた抹茶の色が移ったのかと勘違いしてしまいました。それほど、鮮やかな緑だったんです)
余談ですが、薯蕷のふんわり感を写真に撮るのは難しい。
シンプルな薯蕷がその和菓子店のおいしさの基準になるといっても過言ではないと思っています。パサパサ、もさもさした薯蕷だとほかの商品を手にとるのは、ちょっと躊躇してしまいます。
『さくら』練り切り製・小豆こし餡『さくらのこはく』琥珀糖
和菓子には、見立てで作られた商品が数多くあります。想像力を磨くにはよいのですが、稀にう~ん、わからんというものもあります(笑)
こちらは、見たまんまで手に取りやすいですね。何の花に見える?と聞いたら、日本人はほぼ100%“さくら”と答えることでしょう。
練り切りは和菓子店でよく見かける製法ですが、琥珀糖は馴染みがない人も多いのではないでしょうか。
琥珀糖は、寒天を煮溶かしてから砂糖と色素を加え冷やします。そして、さらに乾燥させるという手間暇がかかる製法となっています。外側のシャリシャリ感と、中の寒天のぷるぷるが口のなかで共演する楽しさがある干菓子です。
『さくらのこはく』《和の菓さんのう》
▪︎販売価格:1袋400円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より30日間
こちらの『さくらのこはく』は、桜花塩漬(ピンク)や桜葉塩漬(白)が入っている桜の季節限定の商品です。干菓子なので、1ヶ月くらい日持ちするのも嬉しいですね。何といってもパッケージデザインも可愛らしく、ちょっとしたプレゼントにもおすすめです。
和菓子で、フリーランスって可能なの?
きりこが初めて和菓子職人・三納寛之さんにお会いしたのは、2018年9月のこと。ラシック(名古屋市中区)にnew openしたセレクトショップで、期間限定のコラボ和菓子を販売されていました。洋服や小物が並ぶ中ショーケースに鎮座する和菓子には、意表を突かれましたねー。その時はまだ岐阜の工房で勤務されていて、翌春独立してフリーの和菓子職人でやっていくつもりだと仰っていたのですが…
えっ、和菓子でフリーランスってどうするんだろう
お店をイメージしてコラボ和菓子を作るなんて、ウィットに富んだ人なんだなあ
勤務している和菓子店も自由な社風なんだなあ
色んな考えが頭の中を巡りました。が、それを上回るぐらい目の前の和菓子は息をのむほど美しい。特に、『輝き』はそれまで見たこともないようなデザインでした。
(冒頭写真のほうが美しい色の重なりが分かりやすいかも)
『鼓動』ローズヒップと蜂蜜の錦玉羹
『輝き』練りきり製 小豆こし餡
『継承』ういろう製 白餡
三納さんは、もの静かな雰囲気を纏いながらも、お客様の質問に丁寧に応える誠実な人柄(服屋に来るお客さんは、和菓子に詳しい方ばかりではないですからね。)また、購入したいなと思わせるには十分でした。
《和の菓さんのう》こと三納寛之さんは、今や海外でも活躍される和菓子職人です。インスタグラムのフォロワー数は4.8万人(2021年3月現在)、遠方の方のためにネット通販をすると販売開始とともに瞬く間に売り切れるほどです。さいわい、岐阜や名古屋市には月1~2回定期販売に来られるので、季節ごとの和菓子を購入できる機会に恵まれています。
今月は買いに行ける! となった場合は気分上々で働けるってものです。
和菓子の世界も、店舗を代々継いだり暖簾分けしたりという従来のかたちではなく、新しい試みがどんどん出てきています。
わくわくしますね!
今回紹介したフリーランス和菓子職人
和の菓さんのう
製造者 | フリーランス和菓子職人 三納寛之 |
住 所 | 岐阜県瑞穂市野白新田337-1-102 |
電話番号 | 090-3834-3444 |
定期販売 日·場所 | ◇ 名古屋三越星ヶ丘テラス The Kitchen2階 毎月第2火曜日・第3日曜日 ◇ 岐阜県本巣市atelierフェリス 毎月第4水曜日 ※インスタグラムで予約可 |
『輝き』は『宵花火』との菓銘で、その後何度か番組で紹介されています。【所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ】では、実演をなさっていましたので、その時の様子をご覧になりたい方はこちらの記事をどうぞ✨ |
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