こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
本日1月19日、お正月の宮中行事【歌会始の儀】が開催されました。今年の御題は「和」。「和」の文字が詠み込まれていれば、「平和」「調和」などの熟語でも可とされています。一般入選者10人のうち最年少は東京学館新潟高校2年の神田日陽里(ひより)さん17歳、最年長は宇都宮市の元小中学校教諭・校長古橋正好さん88歳。
御題 | 御題 | ||
平成24年 | 【岸】 | 平成30年 | 【語】 |
平成25年 | 【立】 | 平成31年 | 【光】 |
平成26年 | 【静】 | 令和2年 | 【望】 |
平成27年 | 【本】 | 令和3年 | 【実】 |
平成28年 | 【人】 | 令和4年 | 【窓】 |
平成29年 | 【野】 | 令和5年 | 【友】 |
【歌会始の儀】の終わりに翌年の御題が発表されます。和菓子職人たちは、そのテーマに沿った御菓子を約一年かけて作り上げるのです。
さて「和」をテーマにどんな御題菓が出来上がったのかみてみましょう。
【御題菓(おだいか)】とは 毎年1月に開かれる、天皇が指定した御題に合わせた和歌を詠み披露する官中行事【歌会始(うたかいはじめ)の儀】。その歌のテーマをもとにして作られる創作和菓子のこと。 |
『御題菓 和やか』村雨餡製&栗入り羊羹
『御題菓 和やか』《両口屋是清》 ▪︎販売価格:半棹(200g) 1,080円(税込) ▪︎販売価格:2023年12月22日~2024年1月上旬 ▪︎賞味期限:製造日より30日間 ▪︎特定原材料等:小麦粉、やまいも ▪︎栄養成分表示:100gあたり 287kcal
平和や円満を意味する輪が重なり合う「輪違紋」。人と人との『和やか』な繋がりが大切にされるよう願いを込めて、村雨餡製に美しい「輪違紋」を描き御題菓としました。
【輪違紋】とは 元々は大和の長谷寺の寺紋であり、形状が美しいことや図柄が連鎖し広がっていく目出度さ、加えて宗教的由来などが相俟って 家紋として用いられるようになったもの。二つの輪は「天を表す金剛界」と「地を表す胎蔵界」を表しています。「金剛界は【智】」「胎蔵界は【理】」のことで、二つの輪がつながることで「天と地の調和」を意味します。 |
原材料名 | 砂糖(国内製造)、栗、小豆、手芒豆、大納言小豆、福白金時豆、餅粉、やまいも、小麦粉、還元水飴、米粉、寒天/着色料(クチナシ、黄4号、赤102号、赤3号、赤106号、青1号) |
左から順に承和色(そがいろ)、梅重(うめがさね)、柳緑(りゅうりょく)、白練(しろねり)、藤色と色が連なっています。彩り豊かな配色なのに美しくまとまっているのは見事としか言いようがありません。中央に配した「白練」がすべての彩りをやさしく包み込んでいるのでしょう。
「白練」とは 混じり気のない、透き通るような白色。色名は生絹(きぎぬ)を精錬して白くする技法を「白練」と呼んだことに由来します。古代は天皇の袍(ほう)の色とされ、神聖な色とされました。近年では清潔で高貴な色として愛用されています。 |
色とりどりな村雨餡の土台は風味豊かな栗入り羊羹。大粒の栗に小豆つぶ餡の組み合わせで、やや固めに仕上げてあります。ホロホロした村雨餡とどっしりとした栗羊羹の相性は抜群。一切れ食べただけでも満足感が高い一品です。
明日より二十四節気では【大寒】に入り一層寒さは厳しくなりますが、自然界は春の息吹きへと動き出します。厳しさに背を丸めることなく、心和やかに日々を過ごしたいものですね。
天皇陛下 | をちこちの旅路に会へる人びとの笑顔を見れば心和みぬ |
栃木県 古橋正好さん(88) | 己が手で漉きたる和紙の証書手に六年生は卒業となる |
新潟県 神田日陽里さん(17) | 「それいいね」付和雷同の私でもこの恋だけは自己主張する |
香川県 岩倉由枝さん(72) | 和菓子屋をなりはひとして五十年寒紅梅に蕊(しべ)をさす朝 |
石川県 宮村瑞穂さん(32) | 花散里が一番好きと笑みし友和服似合ふ母となりぬる |
京都府 小池弘実さん(21) | 目を瞑り一分間を祈るとき皆が小さき平和像なり |
今回の歌会始にて披露されたものを一部抜粋いたしました。同じ「和」という御題でもさまざまで興趣が尽きません。香川県丸亀市の岩倉さんのは「梅」を模した上生菓子に蕊を差し込む情景がまざまざと見えるようです。最年少の神田さんは「付和雷同」という硬いフレーズを使いながらも何とも瑞々しく微笑ましい恋の歌を詠まれました。
来年の御題は「夢」。いったいどんな歌が、またどんな御題菓が披露されるのか今から楽しみで仕方ありません。
今回ご紹介した和菓子店舗
《両口屋是清》八事店
コメント