【インデックス投資ナイト2023】視聴レポ&感想

マネーリテラシー

こんにちは、きりこです。

7月8日、楽しみにしていた「インデックス投資ナイト2023」が開催されました。リアル開催チケットはSOLD OUTしたようですが、有難いことに今年はオンラインとのハイブリッド開催が実現!夕飯の支度も早々に済ませ、今年もオンライン参戦しました。

【インデックス投資ナイト2023】

  • 日時:2023年7月8日(土曜日) 開場18:00 開演18:30 終了20:30頃
  • 場所:東京カルチャーカルチャー
  • アクセス:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti SHIBUYA 4階 http://tokyocultureculture.com/
  • チケット価格
    • 二次会付リアル会場:5,500円(二次会飲み放題・軽食付き、実行委員会から1ドリンクプレゼント付き)
      リアル会場:3,000円(実行委員会から1ドリンクプレゼント付き)
      オンライン配信:2,000円
各部の特徴
  • 第一部:一般投資家目線に立った、経験談交えた話。つらお氏の軽妙洒脱な司会っぷりにバリバリの投資家ではない登壇者の緊張も解け、思いがけない話が飛び出すことも。観客が共感しやすい雰囲気がある。
  • 第二部:社会的注目度が高い話題にスポットをあて、専門家に解説いただく。時間こそ短いが内容は濃い。
  • 第三部:投資スペシャリストによるマニアック会談(笑)。穏やかでありながら探究心いっぱいのカンチュンド氏の名司会に、ドラえもんのポケットかと思うほどのありとあらゆる資料を提示する小松原氏との掛け合いが見もの。

素人目線、録音なしの当日のメモのみでレポートしました。正確ではないところもあるかもしれませんが、少しでも空気感を味わっていただけましたら幸いです。どうぞお楽しみください。

⏫2022年の「インデックス投資ナイト」の様子はこちら記事ご覧ください

第1部 投資家座談会:「インデックス投資家さん、いらっしゃい!」30分

司会: つらお氏(吊られた男の投資ブログ(インデックス投資)

まずはインデックス運用含む投資を始めたタイミングやNISA、iDeCo制度を活用されているか、投資対象…etc.投資歴10年前後の「先輩投資家」さんの自己紹介をどうぞ※一部音声が途切れて聞こえなかった部分あり

パーサモウニアス氏・2014年~  一般NISA制度スタートしたタイミングで預貯金以外の資産運用先を探してた。
・楽天証券メイン(他ネット証券、実店舗多数)
・インデックス投資:オールカントリー
・一般NISA、iDeCo利用
インデ氏・2015年~
・SBI証券メイン。au、LINE証券ではポイント投資を少額
・インデックス投資:全世界+VT少々
・つみたてNISA、iDeCo利用
ずずず氏・SBI証券メイン。楽天、マネックス証券
・インデックス投資:全世界50%+全米50%
・つみたてNISA利用
つらお氏・インデックス投資+持ち株600万円程度
・iDeCoは企業型利用中なため利用なし

興味深かったのはインデ氏が「97%がインデックス投資」との発言。すかさず、つらお氏が「全資産の?それとも(生活防衛資金抜いた)資産運用額の?」と問うと「預貯金含めた全てのです」という清々しいお答え。資金捻出もバリバリ働いて余剰資金を作るスタイルから人的資本が高めの方なのかなと推察。きっと資金が必要な際には、感情に左右されず運用資産から淡々と取り崩しが出来そうなタイプとお見受けしました。実は最近、出口戦略にも興味があるのでこういうストロングスタイルの方の意見も参考になります。

反面、ずずず氏は消極的スタイル。iDeCoも手間を増やしたくない、周りにやっている人がいなかったため利用されず。「新しいNISA」についても先週知ったところと言うから驚きです。他のお二方は機会損失を避けるため「新しいNISA」に対し戦略的な投資を行う予定ですが、ずずず氏は「今まで通り。相場が悪かったら投資額を増やし、高騰時は減らす」情報に躍らされず、継続的に堅実な投資スタイルを貫くもよう。

ちなみに会場の半分くらいの人が「年間360万円の投資枠を全て埋める」インデ氏と同様の戦略に手を挙がったそうです✨

後で判明するのですが、実はずずず氏はダブルインカム世帯。家族構成が変わろうが生活費部分は奥様が担っているので投資にまわせる資金は潤沢なんです。「共働きは強い」とつらお氏を羨ましがらせてました。

パーサモウニアス氏はインデックス投資こそオールカントリーとシンプルなものの、それ以外では緻密な戦略型投資スタイル。法人化して太陽光発電3機を設置し、利益をETFにまわして資産形成を構築しているとのこと。「新しいNISA」も成長投資枠を利用して更にパワーアップした資産形成を図る計画案を述べていました。売却ルールや投資対象・金額設定も詳細で、私なんぞ口をあんぐりと開けているしかなかったです「お金を働かせる」ってこういうことかと思わせる内容でしたね。

三者三様+時々つらお氏で、まさに投資スタイルに正解はなし!あくまでも投資は目標を達成するための手段のひとつでしかないし、自分にあったスタイルを見つけ継続していくことが大切なんだなということが伝わりました。

参考:当日の様子をパーサモウニアス氏が登壇者目線でお書きになっています。気になる方はインデックス投資ナイト2023に参加しましたをご覧ください。

第2部 勉強会:おしえて金融庁さん!「新しいNISA」20分

司会 :虫とり小僧氏(ブログ:いつか子供に伝えたいお金の話

  • 今井利友氏(金融庁 総合政策局総合政策課 金融税制調整官)

今一番ホットな話題、2024年から変わる「新しいNISA」について金融庁の方から詳しく解説していただけるとあって期待値高い第2部。投資ブロガーさんや金融系YouTuberさんの解説なども見ましたが、大元から伺えるのは此処だけではないでしょうか。竹川美奈子氏の著書「大改正でどう変わる?新NISA 徹底活用術」を読んで準備万端!…と思っていたら虫とりさんが冒頭から

今日は制度の話はしません。詳しい内容は「みなこ」の本を読んでください。Q&Aもあって痒い所に手が届く内容になってまーす。

「みなこ」とは前出の竹川美奈子氏のこと(笑)いやはや、予習しておいて良かったー!

ここで軽くおさらい。「新しいNISA」の特徴を確認しましょう。

「新しいNISA」のポイント
  • 非課税保有期間の無期限化 ・口座開設期間の恒久化
  • つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
  • 年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
  • 非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は1,200万円枠の再利用が可能。)

特出すべきは恒久化・無期限化生涯1,800万円という多額の金額設定。「どうした!金融庁」と言いたくなるような抜本的改革です。

金融庁「新しいNISAのポイント」より

そこでNISA制度設計者の今井氏をお呼びして伺うのは、制度にまつわる裏話や今後の展開。悪名高い一般NISA2階建て案やつみたてNISA発足から数年で改革に至った理由…etc.気になる内容満載でしたねー✨

最初から3つのNISAを統合する予定だった

3つに分かれてしまったNISAですが、2018年つみたてNISA発足時にすでに総額・生涯管理案はあったもよう。密かに統合に向けて極秘プロジェクト(デススター計画)が動き出す。恒久化は実現可能か、予算規模とのバランス…etc.さまざまな検討がなされ実現したのが今回の「新しいNISA」。検討の最中代替案として生まれてしまったのが「一般NISA2階建て案」だったそう。複雑で使いにくい代物でしたね…

買付け残高(簿価残高)で管理が妙味!

簿価残高が素晴らしい。
これは人生においてお金が必要なタイミングで引き出し、またつみたて等資産形成を継続出来るようにするため。まさに、生涯に渡って資産形成のパートナーとなりうる制度を実現した「新しいNISA」。
ちなみにネーミングは「NISA」だそう。1つに統合したということで。

生涯1,800万円の金額設定は何処から?

2,000万円問題が関係しているのか否か…実は金額については金融庁はノータッチ。政治的判断で驚くような金額設定に決まったそうです。
実はつみたてNISAの際、1,200万円(60万円×20年)で要望を出したのにも関わらず最終800万円(40万円×20年)になったとのこと。何故12ヶ月で割ると端数が出る金額設定になってしまったのか…。

今後の展望

18歳未満が活用できない「NISA」となった。3つのうち、ジュニアNISAが取り残された形。これは日本の金融教育が遅れているのも要因。諸外国では大学の終わり若しくは新社会人スタートと共に「資産形成」を始める。日本はプラス10~20年経った職業人生が安定した頃にようやくというところ。
「NISA」をブランド化したい。国民にとって安心して使える制度となるように。それには成長投資枠も長期的資産形成となりうるように金融業界の方々にも協力してもらいたい。恒久化して良かったねと言われるものにしましょう。

第3部 パネルディスカッション:徹底討論!インフレ時代の資産運用 60分

司会 :カン・チュンド氏(投資信託クリニック

  • 金野まゆみ氏(BogleHeads@日本チャプター代表)
  • 小松原宰明氏(イボットソン・アソシエイツ・ジャパン チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)
  • セロン(投資ブロガー・インデックス投資ナイト実行委員)

急遽、ご登壇となった金野氏とセロン氏。投資スタイルも年代もバラバラなため、昨今のインフレに対する見方も三者三様で興味深い第3部となりました。1987年生まれのセロン氏と同世代の方々は初めてのインフレ情勢に怖さも感じていらっしゃる様子。対して小松原氏は学生時代のマックⓂ️アルバイトで時給が500円だった等、物価上昇と賃金上昇の関連性についても言及。各国の物価水準の推移やインフレ率…etc.関連資料がバンバン出てくるドラえもんのポケットのような小松原氏に聴衆もくぎ付けでした。

「インフレ時代の資産運用、アセットアロケーション」については金融業界の売り文句に躍らされないようにと。分かりやすいキャッチフレーズは浸透しやすいけど、超長期的視点をもって資産運用していくことが大事であるとのこと。

普遍的な資産運用の考え方

・程々のインフレであれば株式の投資リターンは上がる傾向(オイルショック並みの8%超える高インフレだとマイナス)。
・不動産はインフレヘッジとなりうる。
・物価上昇+金利上昇+株式のリスクプレミアムを得られる。
・お馴染みの5資産の配分別ポートフォリオによるリスクリターンのグラフ。リバランス等コントロールが大変。同様のものは全世界株式+預貯金で作れる。マーケットの変動は捉えているし、管理がしやすい(私も同感です✨)。

・(資料:2070年人口とGDPより)世界的な人口減少が訪れるがGDPは伸びていく。株式投資に価値は見出だせる。
・「金」は人々の期待によって短期的に価格変動する投機的な商品である。株式は長期的に成長性が望める資産クラス。

自分自身の資産運用を考える上で礎となるのが、ボーグルヘッドの10原則のひとつ【航路を守る】ですね。セロン氏も「投資方針書」を作成して折に触れて見返しいらっしゃるご様子でした。

私も投資ブロガー・なるたく氏の「ボーグルヘッドの10の投資哲学を学ぶ。」で知って感銘を受けたひとり。ちなみにブログの中で水瀬ケンイチさんが「ボーグルヘッド・カンファレンス」に参加された内容にも触れられています。日本にもこういうコミュニティがあれば…と仰ってましたが、実現しましたね。改めて感慨深い。

余談ですが、金野氏は不動産投資もなさっています。…上級者だ。と思っていたら不動産投資を始めたキッカケも在り方も一風変わっていて、大変興味深かったです。

☆キッカケ 
「家」という建造物が好きすぎて。2件目を購入する際、1件目を売却出来ず大家さん(賃貸)業にシフトしたそう。

☆不動産投資は「おもてなし投資」
レバレッジを利かせた資産運用というよりも、大家業は仕事の創出と捉えている。コミュニケーションツール・老後のコミュニティスペース作りの一環。なので、海外も含めペーパーアセットの不動産投資には興味がないそう。

橘令氏も著書「幸福の資本論」で「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」を掲げていますが、金野氏の不動産投資はまさに「社会資本」を高める要素といえるでしょう。不動産投資=上級者の資産運用(金融資本)とばかり思っていたので、金野氏の発想の柔軟さに目からウロコでしたね。

アディショナルタイム「インデックス投資家の皆さんへのメッセージ」 10分

登壇者:山崎元氏(経済評論家)

ガンサバイバー(ステージ4)山崎元氏によるインデックス投資家に向けて語る貴重な時間。登壇した姿こそ以前より15kg程お痩せになられ、声の掠れもある状態でしたが、山崎元節は健在。一言も漏らすまいと耳を傾ける聴衆に熱いメッセージと御礼を述べられました。

インデックス投資ナイト第1回目から登壇してくださった山崎元氏は「インデックス投資ナイトで話せて大変満足です」とのこと。そして

プライドの在り方とは

  1. 論理的思考力を身に付けよ
    • リスク、リバランス…etc.自分の頭で考えインデックス投資の合理性について堂々と答えて欲しい。
  2. N=1を克服せよ
    • 自分のリアルな経験なんぞN=1分の価値しかない(バフェットですらN=3位)。ありがたそうに経験談を話すのはやめること。小さなサンプルに動じないこと。
  3. 意見の違う人とも接せよ
    • 金融業界人は職業人としてはクズだが人間性は別物。

ガンサバイバーになって考える情報・時間との向き合い方については、是非とも楽天トウシルの記事をお読みいただきたい。

参考:山崎元、癌になってみて考えた。「どうでもいいこと」と「持ち時間」

最後になりましたが、関係者の皆様、登壇者の方々、こんな素敵なイベントを毎年ありがとうございます。コロナ禍でリアル開催は4年ぶりだったとのこと。その熱気が画面向こうからも伝わって来ました。リアル開催を再開された後も、オンラインを残してくださって改めて御礼申し上げます。こうして、山崎元氏の言葉を直に聞けたことを嬉しく思います。

「洗練されたインデックス投資家」の名に恥じないように、今後も資産形成に励みたいと思います。

イベント実行委員7名の皆さま

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