春の季語と和菓子『春霞』『桜便り』《京菓子司 松屋長春》

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」のまる子役を演じてたTARAKOさんが3月4日(月)未明、ご逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

温かみのある味わい深い声が“まる子”を生き生きとみせ、我が子の代までも長い間楽しませてくださいました。春は別れの季節といいますが、あまりにも早いお別れです。まる子と仲良しのおじいちゃん友蔵役の島田敏さんも悲しみの心情を俳句にしています。古来より季節の移ろいや喜び、悲しみ…さまざまな心情を人々は歌に詠んできました。

今回は、春の季語にまつわる和菓子をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみください。

春の季語の区分

◇初春:立春から啓蟄の前日まで
◇仲春:啓蟄から清明の前日まで
◇晩春:清明から立夏の前日まで
初春~晩春までの全ての期間に共通する季語を「三春」といいます。

三春の季語にまつわる和菓子『春霞』

『春霞』《京菓子司 松屋長春》
▪︎販売価格:1個324円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:やまいも
▪︎薯蕷製 丹波大納言小豆こし餡 栗の甘露煮入り

空気中の水分が増し、万物の姿がほのぼのと薄れてのどかな春景色となるさまを“春霞”といいます。三十六歌仙のひとり、壬生忠岑(みぶのただみね)は「拾遺和歌集」にて

と、春の訪れと幽玄な吉野の山を詠みました。春の霞は夜になると「朧(おぼろ)」と言い換えます。同じ現象を違う言葉で表現する、古来日本人の感性豊かさが感じとれるのではないでしょうか。

二十四節気【雨水】の次候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」の頃から和菓子屋さんの店頭でも『春霞』と銘うつ上生菓子を見かけるようになります。

《松屋長春》さんの『春霞』は薯蕷に仄かに透ける淡紅色が雅やかな一品です。半分に割ってみると、あまりにも色鮮やかな一重梅(色)が差し込まれていて目を奪われます。春の訪れを喜ぶかのように大きな栗の甘露煮が入っているのも嬉しいところですね。薯蕷のふわりとした甘さに、丹波大納言小豆の深い甘みがいい塩梅で絡み合います。

「丹波大納言小豆」の特徴
□ 晩成種のため生育期間が長く、栽培に手間暇かかる。
□ 国内小豆流通量に占める割合は約1%と希少種。
□ 色鮮やかで大粒、甘みが強い。
□ 風味豊かで、皮が薄めながらも煮崩れしにくい。

晩春の季語にまつわる和菓子『桜便り』

『桜便り』《京菓子司 松屋長春》
▪︎販売価格:1個248円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:卵
▪︎羽二重餅製 備中白小豆紅餡 

ふんわりとした羽二重餅に桜の焼き印を押して『桜便り』としました。羽二重の白に仄かに透ける中紅花(なかくれない)が何とも艶やかな意匠です。

“春霞”が吉野山の情景を詠んだものでしたので、こちらも吉野の桜を待ちわびる歌をご紹介いたしましょう。西行法師「新古今集」より

中は備中白小豆を中紅花(色)に染めたこし餡。上品な甘さはやさしい舌触りの羽二重餅と相性抜群です。

「備中白小豆」とは
岡山県備中地域で栽培される希少性の高い豆。独特な風味とあっさりとした舌触りで、高級餡として使用される。

今回ご紹介した和菓子店舗

《京菓子司 松屋長春》

住 所〒492-8212
愛知県稲沢市小沢3-13-21
名鉄国府宮駅ロータリー前から約850m   
・車で西へ約3分
・国府宮駅西口より徒歩で約13分
電話番号
メール
0587-32-0253
wagashi@matsuya-choushun.jp
営業時間 8:00~18:00
休業日月曜日(※祝日の場合は翌日に振替)。
火曜日は不定休となっております。

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