おすすめ和菓子『利久巻』《むらさきや》

おすすめ和菓子屋さん

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

予てより訪れたいと思っていた伏見の《むらさきや》さん。代表銘菓『水ようかん』は全国的にも名を知られる逸品です。4月~9月までの販売なので今はシーズンオフですが、こだわりの小豆で作られた羊羹がショーケースに並べられているさまは圧巻。初めて訪れた方は驚かれるかもしれませんね。

上生菓子は5種類…にプラスしてミニサイズの中生菓子も販売されています。和菓子好きのツボをおさえている!と感心しきり。あれもこれも食べたい、でも多すぎる…という逡巡を見事に解消した心遣いと云えるでしょう。

今回購入したのは上生菓子3個に中生菓子1個。見比べてみると小さくて愛らしいですね。上生菓子はJR名古屋高島屋さんなどのデパートにも卸されていますが、中生菓子は店舗でなくては購入出来ません。お値段も良心的に半額なのも嬉しいところです(ミニサイズの方が細やかになる分、手間が掛かりそうなものなのに)。

『利久巻』麩焼き皮製 上がりあん

『利久巻(りきゅうまき)』《御菓子 むらさきや》
▪︎販売価格:1個345円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:小麦粉、大豆

“上がり(あがり)”とは献上菓子を意味し、上質なこし餡を使った羊羹を尾張徳川家に献上していたことに由来しています。その“上がりあん”を黒糖や醤油、味醂などを加えた麩の焼き生地でくるりと巻き上げた『利久巻』。千利休が晩年、茶の湯で特に好んで茶菓子として出していたのが「ふの焼き」といいますから、菓銘の由来は推して知るべしでしょう。

「ふの焼き」とは
小麦粉を水で溶いて薄く焼き、片面に山椒味噌や砂糖などを塗って巻物状に生地を巻いて成形したもの。
寛永年間、餡を包んだものに変化し「助惣焼(すけそうやき)」と呼ばれ流行した。

巻物状にしたものをカットしているのにも関わらず、ふわんと“上がりあん”が浮き上がって見えるのが何とも興味深い意匠です。大胆な「ののじ」とも取れる“上がりあん”のさまは美しい似紫(にせむらさき)色をしており、食べる前からおいしさが約束されたようなもの。きめ細やかな餡は弾力のある生地と溶け合い、まろやかな甘みと奥深い風味が口福へと導いてくれます。

『箙の梅』求肥製 白みそあん

『箙の梅(えびらのうめ)』《御菓子 むらさきや》
▪︎販売価格:1個345円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:卵、大豆

お正月は『花びら餅』として販売されていましたが、松の内が明けて『箙の梅』と銘づけられました。能の演目【箙の梅】を意匠とした和菓子だとすると、牛蒡は箙(矢を入れて携帯する道具)から伸びた「梅の枝」の見立てなのでしょうか。そう思うと片側だけすらりと長く伸びた牛蒡も、雅趣に富んでいるようにみえるから不思議なものです。

半分に割ってみると、羽二重餅の白に透けてみえた淡紅色は餡ではく餅そのものに色付けされたものであることが分かります。羽二重餅のほのかな甘みを引き立てるまろやかな白みそあん。軽やかで抹茶によく合う味わいです。

『こぼれ梅』黄身しぐれ製 上がりあん

『こぼれ梅』《御菓子 むらさきや》
▪︎販売価格:1個345円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎特定原材料等:卵

早春、散りこぼれた梅を一斤染(いっこんぞめ)色の黄身しぐれ製にて表現した『こぼれ梅』。黄身しぐれ特有のひび割れに、寒気のなか凛と咲く梅の有り様が想像しうる意匠となっています。

百花にさきがけて咲く梅は古来より多くの詩歌に詠まれてきました。

辺鄙な山里では、正月も半ば過ぎ梅の花が咲く頃になって、ようやく「万歳(※)」がやってきたことだ。
※正月を迎えた民家で「千年も万年も栄えるように」と新年を祝う民俗芸能のこと

中はなめらかな上がりあん。ほろりと崩れるやさしい甘さの黄身しぐれとの相性は絶妙です。

今回ご紹介した和菓子店舗

《御菓子 むらさきや》

住所468-0061
愛知県名古屋市中区錦2丁目16番地13
□名古屋市営地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅 1番出口より徒歩3分
電話052-231-5427
営業時間月曜日~金曜日:9:00 〜 17:00
土曜日:9:00~15:00
休業日日曜日·祝日

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