和歌を楽しむ季節の和菓子『此ノ花』『水仙』《京菓子司 亀広良》

和菓子

こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。

いち早く春の訪れを知らせる「梅」、厳寒のなかでも凛と咲く「水仙」は歌人に愛され古来から数々の歌に詠まれてきました。特に「梅」は別称が多いことでも有名です。【万葉集】では一〇〇余首(桜は四〇余首)も詠まれたこともあり、人々がそれぞれの心情を花に託し名が生まれたのでしょう。

「梅」の別称由来
「好文木(こうぶんぼく)」文を好む平和の花
~晋の武帝が学問に親しむと花が開き、怠ると開かなかったという中国の故事により
「百花魁(ひゃっかさきがけ)」「花の兄」「初名草」「春告草」早春、百花に先駆けて咲くことから
風待草春を告げる風を待って咲くことから

「香雪」「氷花」「雪中君子」など「雪と梅」を雅やかに表現した別称もあります。ちなみに「水仙」も、雪に覆われた土のなかで清らかな白い花を咲かすことから「雪中花」と呼ばれています。

今回はそんな清雅な「梅」「水仙」にスポットをあてた和菓子をご紹介したいと思います。

『此ノ花』きんとん製 丹波大納言小豆つぶ餡

『此ノ花』《京菓子司 亀広良》
▪︎販売価格:1個350円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎原材料名:砂糖(国内製造)、丹波大納言小豆、小豆、伊勢芋、餅粉/着色料
▪︎特定原材料等:やまいも

『此ノ花(このはな)』とは「梅」の別称のこと。仁徳天皇が難波高津宮で即位した際に、渡来していた百済の王仁(わに)がその治世をたたえるために詠んだ歌に由来しています。【古今和歌集 仮名序】より

長い冬が明け(応神天皇崩御後3年間も空位となっていた)色のない世界に清白な梅が花開くーその溢れんばかりの喜びが繰り返される「咲くやこのはな」に表れています。

「古今和歌集仮名序」とは
日本最古の勅撰和歌集「古今和歌集」に添えられた2篇の序文のうち、仮名文で書かれたもの(漢文で書かれたものを「真名序」、仮名文で書かれたものを「仮名序」という)。執筆者は撰者の一人である紀貫之。
「やまとうたは ひとのこころをたねとして よろづのことのはとぞなれりける」から始まる。

ちなみに現在の元号「令和」も【万葉集】巻五「梅花歌三十二首并(ならび)に序」の句に由来しています。

いつの時代も気品ある清楚な姿が尊ばれた「梅」を《亀広良》さんは美しい2色のきんとんで表現しました。

紅梅色と白練(しろねり)色のきんとんの太さを違えることでコントラストを生み出した『此ノ花』。白梅に続いて紅梅も咲きほころび始めた頃、また雪が降る…情趣ある風景が浮かんでくる意匠です。

中はたっぷりとした丹波大納言小豆のつぶ餡。力強い甘さは、降り積もる雪にも負けず清雅に咲く梅の生命力を表すのにぴったりなあんこと云えるでしょう。

「丹波大納言小豆」の特徴
□ 晩成種のため生育期間が長く、栽培に手間暇かかる。
□ 国内小豆流通量に占める割合は約1%と希少種。
□ 色鮮やかで大粒、甘みが強い。
□ 風味豊かで、皮が薄めながらも煮崩れしにくい。

『水仙』備中白小豆製 道明寺羹

『水仙』《京菓子司 亀広良》
▪︎販売価格:1個350円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より2日間
▪︎原材料名:砂糖(国内製造)、白小豆、伊勢芋、小麦粉、餅粉、道明寺粉、寒天/着色料
▪︎特定原材料等:やまいも、小麦粉

スーッと真っ直ぐにのびる葉を黄浅緑に染めた備中白小豆で、こなしで白い六枚の花弁に副花冠を黄蘗(きはだ)に染めて『水仙』を意匠しました。

数ある「水仙」の句で好きなのは、生涯1,700余りの句を詠んだと云われる江戸時代に活躍した女流俳人·加賀千代女のもの。

可憐な容姿に似合わず独特の芳香を放つ水仙。純白の雪上に黄蘗(きはだ)の冠からこぼれる高貴な香りは、春の訪れを大地に知らせるかのよう。白×白の世界なのに暖かな春色の兆しがみえる、そんな雅趣に富んだ句ですね。

備中白小豆の中は道明寺羹。寒天と道明寺粉のもっちりした食感に上品な甘さの備中白小豆は相性抜群。後味があっさりとしていて身体にするりと馴染みます。

「備中白小豆」とは
岡山県備中地域で栽培される希少性の高い豆。独特な風味とあっさりとした舌触りで、高級餡として使用される。

今回ご紹介した和菓子店舗

《京菓子司 亀広良》

住 所 〒451-0025
愛知県名古屋市西区上名古屋1-9-26

・名古屋市営地下鉄名城線「名城公園」駅1番出口徒歩8分
電話
Fax
052-531-3494
052-531-3494
営業時間9:00~18:00 
休業日火曜日・水曜日

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