こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
山口旅行に行った際、こんなにも「山口外郎」を扱う和菓子屋さんがあるのかと驚いたものです。特に「生外郎(ういろう)」を推している和菓子屋が多いこと!名古屋もういろうで有名ですが、殊に「生ういろう」となると《青柳総本家》さんぐらいしか思いつきません。
《青柳総本家》 明治12年(1879年)大須に創業した老舗の和菓子屋。竹の皮で包んで販売していたういろうを、独自の密封方法を開発することによって日持ちのする土産物としての地位を確立させたことで広く知られています。名古屋駅構内で立ち売りしていた実績をかわれ、1964年東海道新幹線開通の際に唯一の車内販売商品に抜擢される等、名古屋名物ういろうの名を世に轟かせました。 |


「生外郎」は賞味期限約3日と短いため、山口県外には滅多に出回りません。これは、ぜひとも食べてみなくては!と旅行の計画にも入れました。山口外郎発祥の福田屋さんの製法を受け継ぐ《御堀堂》さんと、その《御堀堂》さんと人気を二分する《豆子郞》さんは必須で立ち寄りたいところ。ちょうど1日目に泊まる湯田温泉にはどちらも暖簾を掲げていらっしゃいます。
…ただ残念ながら湯田温泉の到着は夕刻。《御堀堂》さんをはじめ、近辺の生外郎は売り切れていました。《豆子郞》さんは10本入りならありましたが、さすがに多すぎるので断念。《豆子郞》さんは朝7時から開店するとのことで、翌朝6本入り生外郎『生絹(すずし)』を無事購入。《御堀堂》さんのは観光地にて“生”ではありませんが、真空パック入りの山口外郎を購入しました。その後、ほかの和菓子屋さんのもいくつか…「夏だいだい(蜜柑)」を季節外郎として販売されている和菓子屋さんもお見かけしました。これは名古屋ではあまり見かけません。柑橘類が特産の瀬戸内海ならでは!の地域性を感じますね。
[ういろうの由来·歴史]~“和菓子”なのか“薬”なのか
ういろうの由来は、2通りあるといわれています。
- 薬の外郎(透頂香)に似ていることから「外郎(ういろう)」と呼ばれるようになった。《江戸時代の百科事典『和漢三才図会』より》
- 博多に亡命していた陳宗敬の息子、陳宗奇が外郎薬を足利義満に献上した際に、口直しに添えた菓子を『ういろう』と呼ぶようになった。

陳宗奇が京都で『ういろう(和菓子)』を世に知らしめたことから、ういろうの発祥地は京都とされるのが通説です。また、陳宗敬が在住していた妙楽寺(福岡県)では、「ういろう伝来之地」の石碑が建立されているそうです。※小田原説もあるが、どちらかというと俗説。(外郎薬を販売していた小田原外郎家がお菓子のういろうも扱っていたことからの由来)
ういろうを扱っている地域は数あれど、主原料が「米粉」ではなく「わらび粉」を使用しているのが山口外郎の特徴的なところ。これは山口がその昔、わらび粉の生産量が多く毛利氏が江戸幕府にわらび粉を献上するほど質も良かったことに由来します。「毛利の殿様外郎で茶を飲む」と詠われたほどだったとか。
米粉のもっちりとしたういろうに慣れ親しんでいますが、山口外郎はいったいどんな味わいなのでしょう?楽しみー💕
《豆子郞》の生ういろう『生絹(すずし)』

『生絹 豆子郞(すずし とうしろう)』《豆子郞》
▪︎販売価格:1箱6個入り 1,250円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より3日間
▪︎特定原材料等:小麦粉
▪︎栄養成分表示:1本(26g)あたり 57kcal
蕨粉と自家製こし餡を使用した生地に蜜炊きの大納言小豆・白小豆をそれぞれちりばめてある『生絹 豆子郞(すずし とうしろう)』。小豆と抹茶の2種類が味わえる構成になっています。細長いフォルムが印象的で目を引きますね。3口で食べ切る長さにしたのは創業者·田原美介氏のアイデアだそうですよ。独特の食感や味わいをより楽しんでもらえるようにと随所に創意工夫が見られるのが《豆子郞》さんの外郎の特徴です。生地のきめ細やかさは正に「絹」。舌触りの滑らかさとプルッとした食感がよく上品な風味が堪りません。

原材料名 | 【小豆】砂糖(国内製造)、小豆、小麦粉、大納言小豆、わらび粉、みりん/加工澱粉 【抹茶】砂糖(国内製造)、手芒豆、小麦粉、白小豆、わらび粉、みりん/加工澱粉 |
また、ういろうに大納言小豆・白小豆がちりばめられているというのも珍しい!つるり、プルプルの生地に小豆の粒はいいアクセント。特に抹茶に白小豆の組み合わせは控えめに言っても絶品です。ほのかな抹茶の苦味に白小豆の上品な甘さがよく合います。
密封包装の『簾子(れんじ)豆子郎』とは違い『生絹 豆子郞』は店舗でしか買えない代物。この瑞々しさは現地に行かないと得られない贅沢な味わいなのでしょう。私も山口の風土を感じながら旅行先でいただきました。
《御堀堂》の『白外郎』『黒外郎』『抹茶外郎』

『小形ういろう(白·黒·抹茶)』《豆子郞》
▪︎販売価格:5個入り700円(税込)
▪︎賞味期限:製造日より7日間
▪︎特定原材料等:小麦粉
▪︎栄養成分表示:1本(35g)あたり [白]71kcal[黒·抹茶]70kcal
山口外郎を語るうえで「生」と「真空パック」は外せません。真空パックは日持ちするだけでなく、茹でると蒸し立てのような舌触りが楽しめるのです。《御堀堂》さんの真空パック入りの山口外郎を見つけたときは「茹でる」をやってみよう!と思って購入したのですが、すっかりそのことを忘れていつも通り開けて食べてしまいました。

原材料名 | 【白外郎】砂糖(北海道製造)、小豆、小麦粉、本蕨粉/加工澱粉 【黒外郎】砂糖(北海道製造)、小豆、小麦粉、黒糖、本蕨粉/加工澱粉 【抹茶外郎】砂糖(北海道製造)、小豆、小麦粉、抹茶、本蕨粉/加工澱粉 |
山口外郎の創始《福田屋》さんの伝統技法を受け継いだ《御堀堂》さんの外郎は、特製の餡(シタ)にわらび粉と小麦粉を練りこみ蒸しあげて作られています。「白外郎」をベースに、黒糖や抹茶を使用した「黒外郎」や「抹茶外郎」の三種類が販売されています。

並べてみると「白外郎」は透け感があり、美しい藤紫(色)をしています。※実際の色相ではなく、生豆に近い美しい色に仕上がった餡の色を表す 何の飾り気もない外郎が高貴な御菓子に見えてきます。普段は抹茶の御菓子が好きなのですが、今回は小豆の風味が抜群の「白外郎」に軍配が上がりました。これは、しみじみとおいしい。 柔らかな弾力も相まって、山口外郎特有の「おっとり」と表現される趣深い味わいが感じられる一品でした。


⏫せっかくなので《御堀堂》さんと《豆子郞》を背比べ。厚みはやや《豆子郞》さんの方があります。…名古屋ういろうに比べて厚みは全般的に薄めなんですよね。これも地域性なのでしょうか。興趣が尽きません。


⏫抹茶の風味は《豆子郞》さんの方が色濃く好きな味わいでした。《御堀堂》さんのは爽やかであっさりとしています。
今回ご紹介した和菓子店舗
《豆子郞》
住 所 | 〒 753-0214 山口市大内御堀一丁目1番3号 □JR 西日本「山口」駅から徒歩約16分 □県道21号「宮島町」交差点から約100メートル |
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電 話 | 083-925-2882 |
営業時間 | 7:00~19:00 [茶房·茶藏唵さくらあん]10:00~17:00(ラストオーダー16:30) |
定休日 | 1月1日 ※営業時間・定休日は変更となる場合がございます。ご来店前に店舗にご確認ください。 |
《御堀堂》本店
住 所 | 〒753-0048 山口県山口市駅通り1-5-10 □ JR 西日本「山口」駅から145m 徒歩2分 □ 中国道山口ICから県道21号経由5km 15分 |
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電 話 Fax | 083-922-1248 083-932-3377 |
営業時間 | 8:00~19:00 |
定休日 | 1月1日 ※営業時間・定休日は変更となる場合がございます。ご来店前に店舗にご確認ください。 |
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