こんにちは、年間100個以上の和菓子を食べるきりこです。
10月22日(土)〜11月13日(日)に名古屋のあちこちで行われていた【やっとかめ文化祭2022】も無事グランドフィナーレを迎えました。今年は10周年ということもあり、記念企画も組まれていて盛況でしたね。「まちなか寺子屋」や「芸どころ名古屋舞台」では、興味があっても日程の都合がつかなくて断念したものも…。
そのなかで観覧できた「芸どころまちなか披露」。普段なじみのない歌舞伎や雅楽などが観覧無料で拝見できるとあって期待が高まります。
11月13日「芸どころまちなか披露」グランドフィナーレ
- 13:00~ ストリート歌舞伎
- 13:40〜 雅楽
- 14:10~ 辻狂言
- 15:00~ しゃちほこチャレンジ
なごやのむかしばなしを「ストリート歌舞伎」で楽しもう
名古屋に伝わる「むかしばなし」を「聴く歌舞伎」とも言われる常磐津の浄瑠璃の手法を使って、わかりやすくたのしく披露する「ストリート歌舞伎」
ひとつの話を長尺やるのではなく、飽きさせないように短いお話をいくつか組み合わせて披露されました。
「ももたろう・金太郎・浦島太郎」の三太郎がコミカルに立回る演目や「ときわづ綱連」の方々が常磐津を語ったりと盛りだくさん。
特に子どもがお気に入りだったのが、工藤倉鍵(日本舞踊工藤流四世家元)さんの豪快な「毛振り(けぶり)」。ぐるんぐるんと頭を回すさまに目を見開きながらも大喜び。会場も沸いて拍手喝采でしたねー。
大丈夫かなぁ。あんなに回して首取れちゃわないかなぁ。
と、最後には心配するほどの見事な「毛振り」でした。
舞台終了し引き上げる際に声を掛けさせてもらったら、ご親切にも子どもに「毛」に触らせてくださいました。
本物の毛だよー。
と仰ってましたが、茶目っ気だったのか本当だったのか…どちらにせよ毛量からして重さも相当あるでしょう。勇猛果敢な舞に痺れました。
はじめての「雅楽」
日本で最も歴史がある伝統芸能・雅楽を、名古屋を中心に様々な所で演奏活動している団体主韻会がお届けします。 |
…難しかった。
「雅楽」で使用される楽器には日本古来の神楽笛・和琴などのほかに,外来の笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・笛などの管楽器と,箏・琵琶などの絃楽器と,鞨鼓(かっこ)・太鼓・鉦鼓(しょうこ)・三の鼓などの打楽器があります。色んな音色が鳴り響いているので、音に気を取られすぎて「武舞」が目に入らない始末。
今回披露された武舞「散手」は難舞ともされているそうですが、知識がないのでみどころが分からないのが残念至極。
子どもには理解不能な世界観、途中から飽きてしまっていたようです。母も勉強不足で申し訳ない。
コミカルで子どもにも大ウケ「辻狂言」
狂言は、600年以上も昔、室町時代初期に誕生した、庶民の日常生活を明るく描いたセリフが中心の喜劇です。今も昔も変わらない人間の姿が描かれ、ほっこり大らかな笑いを届けます。 |
狂言でパッと頭に思い浮かぶものといえば、「あおげ〜あおげ〜あおぐぞ、あおぐぞ」のフレーズが有名な【附子】。子どもはまだ学校で習っていないので、狂言独特の言い回しに最初はきょとんとしておりました。
披露されたのは「千鳥」。あの手この手で酒を手に入れようと画策する太郎冠者と、それをさせまいとする酒屋の主人のやり取りが滑稽な演目です。
あらすじ
店の主人からツケで酒を買って来いと命じられた太郎冠者は渋々酒屋へ出向きます。これまでの支払いも滞っているため酒屋もなかなか酒を渡しません。
酒屋が話好きなことを知っている太郎冠者は「津島祭」で見た千鳥や流鏑馬の話をして気を引こうとします。酒屋の主人に囃させ、謡い舞いながら隙を見て酒樽を持ち出そうとしますが…
駆け引きのシーンになると子どもも状況が掴めたらしく、大笑い。太郎冠者が謳い舞いながらチラチラ酒樽を見たり、持ち出そうとしたのを見つかって「あちゃー」という表情を浮かべたり。
さて、どうやって持ち出すつもりなんだろうと観客一同、興味津々です。
酒屋の主人は「こちらを向くと話が止まる」というのを真に受けて前を見ているのですが、ここぞという時にクルッと向きを変えるんですよねー(笑)
子どもはすっかり「ちりちり~や、ちりちり」の節回しを覚えてしまいました。なかなか上手なもんです。
私は太郎冠者の肩衣の後ろ姿、蕪の絵柄が素敵だなと見ておりましたが、子どもは店の主人の長袴が気になったようで
ズボンが長すぎる。踏んづけて転ぶよ。
と、気にかけておりました。
「千鳥」をご披露された後、太郎冠者を務められた奥津健一郎(おくつけんいちろう)さんへインタビューがありました。さすがに息を上がった状態です。上演中はあれほど動き回っていても朗々と謳い優雅に舞い、軽妙洒脱な掛け合いで楽しませてくださった奥津さん。「千鳥」の滑稽さや狂言の魅力を伝えてくれました。
が、観客がどよめいたのは奥津さんが19才、現役大学生(東京藝術大学音楽学部邦楽科・能楽(狂言)専攻)だと知ったとき。ちなみに、名古屋に19才の狂言師はお二人しかいらっしゃらないとか。奥津さんのプロフィールを拝見すると5才で初舞台、父・奥津健太郎氏とともに狂言普及のためのワークショップや海外各地の公演、国際交流にも積極的に参加しているそうです。
参考:奥津健太郎氏のInstagram
「しゃちほこチャレンジ」は子どもも参加したくなるプログラム
舞妓・芸妓の団体である名妓連組合で習得が必須とされている「金のしゃちほこ踊り」。 【やっとかめ文化祭】では一般参加の皆さまが日本舞踊西川流四世家元・西川千雅氏の指導のもと「しゃちほこチャレンジ」に挑戦します。 |
まずは舞妓・真ことさんとご指導にあたられた家元・西川千雅氏にインタビュー。真ことさんが仰るには「金のしゃちほこ踊り」が踊れて初めてお座敷デビューが叶うのだとか。特に最後の「しゃちほこ」ポーズは、体幹がしっかりされている方以外は半年ぐらい練習を要する難技なんだそうです。
それを一般の皆さまに、短期間のお稽古で身に付けてもらおうというのだから無理難題な話。そこで考案されたのが輪っか状にした布です。しゃちほこポーズする際、布を両腕に通し安定させて軸がぶれないようにします。そうすることで「しゃちほこ」ポーズがきまるそうで…これは全員成功の期待が高まります。
まずは真ことさんによるお手本。「金のしゃちほこ踊り」を手先まで美しく舞いながら、最後にピタッと「しゃちほこ」ポーズをきめてくれました。
あまりにも優雅にさらりときめられたので、子どもは
「しゃちほこ」ポーズ、やってみたい!私、体幹しっかりしてるもん。
と、何故か自信満々な様子。
家元・西川千雅氏が、YouTubeにやり方をアップしているから興味ある方はご覧くださいとお話があると
YouTube見て、来年は「しゃちほこチャレンジ」したい✨
と、すっかりその気になっていました。
但し、やる前に「これはキケン」の動画も必ず見てくださいとのアナウンスもありました。
「しゃちほこチャレンジ」は数年前からプログラムに入っていますが、最初のころは「日本舞踊の稽古を通じて女子力アップ」と募集されていたそうです。
今回初めて参加された方もいらっしゃれば、4回以上参加されている猛者もチラホラ。みなさん「しゃちほこ」ポーズの面白さに魅了された方々です。「金のしゃちほこ踊り」は1分30秒程度なので、参加者のみなさんに家元・西川千雅氏がインタビューをしながら軽快な語り口調で会場をあっためてくださいました。
計3回も踊ってくださった「金のしゃちほこ踊り」。「しゃちほこ」ポーズは全員成功となりましたでしょうか。
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